教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-024/52page

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会社勤めのときは、企業向けの広告代理店の営業マンだった。主に新規開拓のための飛び込み営業を行ったが、門前払いを食らうことなど日常茶飯事であった。しかし毎日たくさんの人と接し、会社を経営する人たちと話をしたことで、社会人としてのものの見方・考え方を学ぶことができた。

補充教員としては、六校にお世話になった。約一年周期で勤務校が変わり、やっと心が通じ合えた子供たちと別れるのがつらく、涙したこともあった。だが、それぞれの学校で素直な児童に出会い、さわやかな生徒とともに生活できたことは、教師を目指す信念を確固たるものにした。また、それぞれの学校で先輩の先生方の温かいご指導を賜り、教師としての素地をつくっていただいたことも、忘れられない私の心の宝物である。

今年、読売巨人軍に入団した上原浩治投手が大活躍している。彼は、西武に鳴り物入りで入団した松坂大輔投手と違い、プロ入り前から野球のエリートコースを歩んできたわけではない。勝っても勝っても謙虚なルーキーは、そのがんばりの源を「雑草魂」だと言う。彼が大阪体育大学に入学する前に一年間浪人した悔しさが活力源となり、その反骨精神でがんばっているのだそうだ。

私の教員としての人生は、大銀杏に見守られるようにして始まった。この大銀杏に出会うまでは、山あり谷ありの人生だった。しかし、その遠回りの期間が、社会人として自分を成長させてくれたと強く感じている。今後は、今まで学んだことを生かし、子供たちに、保護者の方々に、地域の人たちに熱意と愛情をもって接していきたい。そして、常に子供から学ぶ姿勢を忘れず、さらなる成長を目指し、「雑草魂」で全力投球することを、この大銀杏に誓いたい。

(伊南村立伊南小学校教諭)





これからの十年

大町恵子

大町恵子

今年十年験研修を迎え、自分がどれだけ成長できたかどうかわからないが、顧りみると、いろいろなことに恵まれ、充実した十年間だったように思う。特に、よき先輩方に恵まれたことは、私の教員生活において、とても意義深いことであった。

教科指導のあり方を根本から教えてくださったT先生。T先生の授業を受ける生徒の目の輝き。ぐいぐいと引き込まれていく授業に、「よい授業」とはどのようなものかを教えられた。こうして見せていただいた授業や一緒に行った教材研究などが、私の教科指導の土台となっている。

また、情熱的で、常に生徒のことを考え、強い信念のもと粘り強く指導にあたられるS先生。いろいろと相談にのっていただき、勇気づけていただいた、そのほかにも、たくさんの先生方の実践を目のあたりにすることで、教師としての姿勢を学んだ。

こうして、周りの先生方に生かされ、育てていただいたことを思い返すにつけ、今の自分のあり方を自分に問い直してみる。「自分は一人一人の生徒を見つめ、よさを伸ばすようなかかわり方をしているのか」と。私に数々のことを教えてくださった先生方との出会いがなかったら、知らずに通り過ぎてしまったことがあったかもしれない。そう考えると、私と生徒との出会いやかかわり合いの重大さが、今さらながら意識され、以前聞いた「教師の力以上には子供は伸びない」という言葉が重くのしかかってくる。私が目の前の一人一人の生徒をしっかりと見つめ、よさを伸ばせるだけの力をつけ、実践していかなければ、今以上に子供は伸びていかないことになる。

新学習指導要領の告示に伴い、授業の質的な転換や意識変革が望まれている今日、教科指導においても、日常の指導においても、経験年数の上にあぐらをかくことなく、よりよいものを求め、自分自


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