教育年報1956年(S31)-012/73page
第三章 学 校 教 育
昭和三十一年度に学校教育課の担当し
た主なる事業については後述の各節に詳
述するが、ここではそのあらましを集約
して全章にわたることがらを通覧できる
ようにしたものである。
改訂高校教育課程の実施
四月より全面的に改訂高校教育課程が
実施されたので、とれが趣旨徹底のため
地区別に説明会を開催すると共に学校訪
問によってその個別指導を行った。
改訂指導要録の研究
四月より小中高を通じて改訂指導要録
が使用されることになったので、前年度
に引続き研究を進め「改訂指導要録の手
びき」再版を作って現場の指導を行っ
た。なお、高校の指導要録記入上の質疑
を各校より求め回答した。
高等学校訪問
本年度より計画的に高等学校訪問を実
施して、その学校の直接指導を行うと共
に新任教員の現職教育の機会とした。
生活指導の強化
児童生徒の非行があとを絶たない状況
に鑑み、県主催の高校における生活指導
研究協議会を実施した。なお、文部省主
催東日本生活指導研究会に参加し、その
伝達を行った。
教科書センターの設置
文部省の補助にもとづき十五か所のセ
ンターを設置し、常設教科書研究施設
として教科書の研究に便益を与え、教科
書の採択をより実情に適するようにし
た。
各種振興法にもとづく施設設備充実
本年度も昨年同様各種振興法による国
庫補助が期待できたので、小、中、高を
通じて理科、学校図書館、産業教育なら
びに定時制高校の施設設備が充実した。
その活用については強力に指導した。
新教委法の施行と「学校管理規則準則」
ならびに「公立学校処務規程準則」の制
定
新法第三十三条にもとづき、福島県立
高等学校学則を改正し、市町村教委に対
しては準則を示して指導した。さらに教
育課程、教材教具の取扱いの細部につい
ては通達と講習会によって指導した。
学力向上をめざす教育の効率的運営
本県児童生徒の学力向上をめざし、教
育の効率的運営のために次のような施策
を講じた。
(1) 小、中学校教育課程編成について指
導
通達によって各学校に教育課程編成
上の留意事項を示し授業時数の確保に
つとめた。 '
(2) 学習指導の改善
「小学校における授業のすすめ方」
を編集し現場教師におくり学習指導の
改善につとめた。
(3) 完全授業の実施
事例的に授業日における授業の実施
状況を調査し、完全授業実施のため
「行事調整について」の通達を示し、
県、出張所、班等における行事につい
て県、出張所長、校長協議会長が責任
をもって調整にあたることにした。
学校統廃合
県産業教育総合計画にもとずく高等学
校の年次的再配置の初年度に当り、通常
課程においては、募集定員増を行ったも
の六校、学科の新設置をみたもの五校、
募集定員減を行ったもの四校、学科の募
集停止及び廃止がそれぞれ二校で、生徒
定員で差引二二〇名の増となっている
が、定時制課程にあっては、本校十三校
分校一五校(部四をふくむ)について、
それぞれ募集定員減あるいは募集停止を
行ったほか、分校二枚を統廃合した結
果、生徒定員六九〇名の減を来した。
小規模小、中学校の統合については、
合併新市町村建設計画にもられた学校統
合計画を検討し、国の施策と相まって、
これが促進の方途を慎重に研究した。
教職員人事
年度末及び年間の教職員人事について
はその刷新充実を期し、特に同一校永年
勤続教員については大巾な交流をはかっ
た。
第一節 新法施行後の人事はどう行われているか
新しい教育委員会法すなわち地方教育
行政の組織及び運営に関する法律が十月
一日から全面的に施行されたが、この新
法施行に伴い小、中学校教職員の人事は
どう行われているだろうか、以下その概
略を述べてみる。
一、任命権者は県教育委員会である
市町村教育委員会設置以来、小、中学
校教職員の人事は市町村教育委員会が担
当してきたのであるが、ややもすると人
事の交流が円滑を欠き、教職員の適正な