教育年報1956年(S31)-013/73page

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配置が行われなかったきらいが多かった
ことにかんがみ新法は、県内教職員の適
正な配置、人事の大巾な交流等を期する
観点から、県費負担教職員の任命権は県
教委の権限となった。今後は新法の趣旨
を十分活かし僻地校における人事刷新、
都市と農村の交流等言い得べく行い難か
ったことを市町村教育委員会と一層緊密
な連絡提携のもとに実施しもって県下全
域の教育水準の維持向上を期している。
二、市町村の教育委員会は県費負担
 教職員の進退について県教育委員
 会に内申することになった。
 県教育委員会が県費負担教職員の任免
その他進退を行う場合は、市町村教育委
員会の内申をまって行うこととなった。
県費負担教職員は市町村の公務員であ
り、市町村立学校に勤務する職員の服務
の監督者であり学校の管理者である市町
村教育委員会に、これら職員の進退につ
いての内申権が認められたのである。こ
の内申権の行使については、県教委と市
町村教委がお互に事前に協議し、協議が
整った後に内申することになっている。
三、校長は所属県費負担教職員の任
 免その地の進退に関する意見を市
 町村教育委員会に申し出ることが
 できるようになった。
 校長は所属職員の直接の監督者である
から、その職員の任免その他の身分上の
異動については意見があるときは、人事
の内申者である市町村教育委員会にその
意見を具申することになっている。これ
は監督者として校長の責任の明確化を図
ったものである。
 この校長の意見具申については、従来
の教育公務員特例法第十三条第六項は教
員の採用及び昇任の選考の場合だけであ
り、かつ選考権者から意見を求められた
場合のほかは校長から進んで意見を申し
出ることはなかったのであるが、新法第
三十九条では単に所属職員の採用、昇任
の場合に限らず、退職その他の進退に関
する場合にまで校長の意見具申が認めら
れ、かつ校長に対し積極的な意見具申
権が与えられている。
 本県としては市町村教育委員会が内申
書を提出する場合には校長の意見書写を
添付するよう措置している。
四、一の市町村の県費負を教職員担
 意に反して免職し、引き続いて同
 一県内の他の市町村の県費負担教
 職員に採用することができるよう
 になった。
 従来甲の市町村の県費負担教職員が、
乙の市町村の県費負担教職員に採用にな
る場合は極めて複雑な手続きを取ってき
たために人事の交流が円滑に行われなか
ったのであるが、新法においては、この
ような場合には、地方公務員法第二十七
条第二項及び第二十八条第一項の規定に
かかわらず、一の市町村の県費負担教職
員を意に反して免職し引き続いて同一県
内の他の市町村の県費負担、教職員に採
用することができることとなった。この
場合、その県費負担教職員が既に正式任
用になっていた者であるときは、他の市
町村における採用は条件付採用とはされ
ない。
 以上述べたように、今後このような人
事の交流は円滑に行われるようになっ
た。
第二節小中学校教職員の人事はどう進められ
     たか
一、年度末人事の概要
 昭和三十一年度は県財政再建計画の立
場から教育予算の削減、給与平均単価の
引下げ、児童生徒の自然増に伴う教職員
定数の不均衡、補助金等の適正化法によ
る事務局出張所勤務教員の現場復帰等々
の悪条件の許で相当困難を予想された。
 しかし、昭和三十年度末人事異動の実
施にあたっては、予算のための人事異動
でなく、あくまでも教育効果第一主義の
ための刷新人事異動たらしめるため、県
教委、地教委ともどもその実施計画には
最善の努力をいたした結果、県財政再建
に協力するとともに実質的に大いに人事
の充実刷新を図られたものと信ずる。こ
とに多年本県教育に尽された相当数の
先輩の方々が本県のおかれている客観的
諸情勢を理解されて御勇退になり、後進
に道をゆづられた事は、敬服に堪えない
ところである。なお相当年令の講師、助
教諭等の方々に大巾な御勇退を願って教
育界に清新発溂の気分を注入した事や、
いわゆる非行教員あるいは指導力の低位
にある教員に対して教育の刷新充実の立
場から、断乎たる態度でのぞんだ事も特
色の一つであった。
 また事務局、出張所勤務の教員が多数
現場に復帰したことも、今次異動の特色
であり、交流はできるだけ県下全域に及
ぼしたことも一つの前進であったo
 次に年度末異動についての各方面から
の意見の一端を述べてみる。
(1) 人事の基本方針及び人事々務の申合
 わせ事項は尊量されその具体化につい
 ては、昨年に比して進歩のあとがみら
 れた。
(2) 広い視野と高い立場から人事のあっ
 旋、助言がなされた。
(3) 個人の希望や地教委、学校長の意見
 を尊重し、数多くの打合わせをもち人
 事異動の円滑を期するための努力がな
 された。
(4) 任命権者である地教委の態度が明確 

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