教育年報1956年(S31)-023/73page
究者全員の意見において検討されるよ
うにした。
5 研究実施の時期
各出張所の指導により、各教科書セ
ンター毎に定めたが、昭和三十二年度
使用教科書の採択が終ってからはじ
め、十月末日までに終るよう統一をと
つた。
6 研究結果の処理
研究の結果は印刷に付し、文部省へ
三部、県教委に二部提出し、各教科書
センター相互間においても互に交換す
るよう措置した。
なお、この研究物の取扱いについて
は、教育委員会職員、学校教職員およ
び採択関係者以外の者には秘扱い(「部
外秘」)とするよう措置した。
三、昭和三十二年度使用教科書の採
択
1 教科書展示会
展示会は、七月十一日(水)より七
月十七日(火)までの七日間、県下十
五会場で開催された。
展示場は、原則として教科書センタ
一をあてることにしたが、多くの教科
書センターは開館の運びに至っていな
かったので、センター所在地の適当な
場所を会場にあてた。
2 採択の方針
小、中学校用教科書の採択について
は「教科書採択に関する協議会」(県
教委側委員六名、地教委側委員六名)
を設け、採択方針を決定した。
採択方針はつぎのとおりであった。
(1)各郡市地教委連絡協議会は、教科書
選定協議会を設け、地域の実情に即し
た教科書を各教科について一種類ない
し数種類を選定してこれを推せんす
る。
(2)右により選定推せんされた教科書
は、各郡市地教委連絡協議会の名にお
いて、展示会終了後に各学校に通知す
る。
(3)各学校長は、推せん教科書並びに後
記教科書選定基準(省略)を参考とし
て、最適のものを選び市町村教育委員
会に採択の申請をする。
申請は需要票の提出をもってこれに
かえる。
(4)市町村教育委員会は、各学校長の申
請に基き採択を決定ずる。
3 教科書選定協議会の運営
採択方針に基いて設置された各教科
書選定協議会の運営はつぎのようにな
された。
(1)協議会の設置及び組織
a 協議会の設置者は各郡市地教委連
絡協議会とずる。
b 協議会は郡市地教委連絡協議会及
び郡市小、中学校長会の代表よりな
る数名の委員をもって組織する。
c 協議会のもとに各教科ごとに専門
委員会を設ける。
d 各専門委員会は、学校長、教諭、
その他学識経験者等よりなる数名の
専門委員をもって組織する。また、
各専門委員会に委員長をおき、学校
長をもってこれにあてる。
e 專門委員は、各教科の専門的な識
見にすぐれているとともに特に公正
な人物をもってあてるよう留意す
る。
(2)教科書の選定
a 協議会はつぎの事項に留意し、選
定にあたる。
イ 教科書の選定にあたっては、でき
る限り、各学校の教職員の希望が反
映するようにつとめ、また必要に応
じ、県教委の指導助言をもとめるこ
とo
ロ 福島県地教委連絡協議会で公表し
た昭和三十一年度使用推せん教科書
を参考にすること。
ハ 昭和三十二年度用の新版および改
訂版について特に比較研究するこ
と。
b 協議会は、各専問委員会の答申に
基き、各教科について、一種類ない
し数種類の教科書を選定すること。
c 協議会は、選定した教科書につい
て、発行者の番号、略称、教科書の
記号、番号、書名、作者名を記載し
て、郡市地教委連絡協議会に報告す
る。
(3)協議会の秘密の保持協議会の委員ま
たは協議会の委員であった者は、正当
な理由がなく、協議会の審議の経過ま
たは、委員の意見等を漏らあないよう
留意する。
○今年度の反省と今後の問題点
1 教科書研究施設について
(1)東白川出張所管内にも県費により一
か所の研究施設を新設する必要があ
る。
(2)運営費についても県費により計上
し、運営の充実をはかる必要がある。
(3)施設の管理の適正化と活動の活発化
については、一段とくふうを要する。
2 教科書研究について
今年度は、国庫補助により、各教科
書センターごとに小、中各一教科ずつ
共同研究を行ったが、今後も順次他教
科におよぼし、同一センターにおい
て、小、中全教科の研究をとげ得るよ
う、年次計画をたてるのが望ましい。
3 教科書採択について
(1)現行法のもとでは、毎年定まった時
期に展示会を実施しなければならない
が、教科書研究施設を中心に教科書の
研究が進められるようくふうしていく
必要がある。
(2)採択にあたって、各郡市地教委連絡
協議会ごとに、教科書選定協議会を設
けたのは効果的であった。今後もこの
方式をよりよく運営するための研究を
進める必要がある。