教育年報1956年(S31)-045/73page
い。
次に、社会体育面であるが、これにつ
いては、指導組織の強化並びにその運営
の合理化に努力した結果、相当の実績が
あがることが、期待され、今後の発展の
基盤を確立したことは、本年度の計画と
して、特筆すべきことである。
さらに学校保健面であるが、児童生徒
の健康管理、健康教育の両面から、現場
に対し、県、学校保健協会と共に、指導
強化策を講じた結果として、福島県学校
保健集録が、完成し、健康優良学校児童
等においても、それぞれ特選の栄誉を
得、さらに全県下児童生徒の健康安全対
策について、画期的な事業が行われつつ
あることは、喜ばしい限りである。
次に学校給食面についてであるが、こ
れも学校保健・学校体育とにらみ合せて
、低下せる本県児童生徒に対し、食生活
の改善の立場から、体位の向上の立場か
ら、その普及充実に努力してきたので、
今後の成果は相当上るものと考えられ
る。なお文部省としても、これに対し、
非常に熱を入れてやっているので、これ
とタイアップして、大いに実績向上に効
力したい。
なお健康管理面についてであるが、特
別身体検査はもちろんのこと、結核教職
員に対する指導の強化などに、力を入れ
実施した結果として、相当よい結果を収
めている現状である。
以上昨年を顧みて、総括していえるこ
とは、今後の保健体育課としての業務内
容に対して、さらに新らしい段階に即応
して、これを強力に発展させるための、
礎石を打った点に、努力が集中されたと
いうことである。今後これらの反省に基
いて、さらに一層の進展を期したい。
なお、これらに関連して、保健体育課
の外廓団体として、陰に陽に、多大の御
協力御援助を賜った関係者の方々に、心
から感謝と敬意を表すると共に、一層の
御支援をお願いしてやまない。
以下それぞれの部門について、業務内
容の大略と、その反省を略記する。
第一節 学校保健はどのようにして向上をはかっ
たか
健康は人間一生の基磐であるにもかか
わらず、健康でいる間はその有難さがわ
かりにくいのは人情の然らしむるところ
であろうか。学校保健についても同じ傾
向があると思う。しかしこの数年来、世
界的風潮として人命尊重の思想が顕著に
なるとともに、学校保健の重要性が著し
く認識されてきたことは、子供達の幸福
と直結するものとして大いに喜びたい。
学校保健といっても、非常に間口が広
くとかく上すべりをし易い。なすべきこ
との多くして、実行のともなわないこと
を反省させられる。例え牛歩であって
も、着実に目標に向って前進するべく努
力を重ねたい。
つぎに本年一ケ年間に実施した主な行
事について大要を報告する。
一、学校保健並びに管理指導講習会
の開催について
例年学校長、学校保健関係者に対し実
施しているものであるが、本講習会は結
核性疾患を有する教職員に対する健康指
導を併せて行ったので、相互の理解を深
め得る効果があった。
なお結核有所見者の面接指導について
は「教職員の健康管理」の項で述べるの
で、学校保健講習会の大要のみを左に記
すこととする。
月 日 会 場
1・21 郡山市立金透小学校
1・24 若松市立鶴城小学校
2・2 平市立平第二小学校
2・3 原町市立原町第一小学校
2・14 福島市立福島第一小学校
講義題目、講師
○教職員の健康管理(全体)
○児童生徒の疾病について(養護教員部
会) 保健体育課技師 折笠睦男
○本県学校保健の現火と健康教育の動向
(学校長、保健主事部会)
○虚弱児童の健康指導(全体)
保健体育課指導主事 鈴木武雄
○公衆衛生の立場から見た学校保健の諸
問題(全体)
県南 郡山保健所長 矢吹睦郎
会津 若松病院長 小島元吉
平・相双教育保養所長 猪越正雄
県北 福医大助教授 辻義人
日程
9.00 10.00 11.30 12.00 1.00 1.40 3.00 受付 教職員の健康管理 健康教育(学校長/保健主事) 研究討議 休憩 虚弱児童の健康指導 公衆衛生から見た学校保健 児童生徒の疾病(養護) 二、学校の児童生徒等の学校管理下
における災害に関する実態調査の
実施について
近来著しく学校の児童生徒等の災害、
特に集団事故が増加するとともに、安全
教育の必要性が大きくとりあげられてき
た。文部省では、安全教育の方向を決定
する資料とするため全国一斉に、この調
査を行うこととなり、本県においては、
小学校二九校、中学校二八校、高等学校
一五校、盲ろう校四校計八四校を無作為
に抽出し、四月一日から、三月三十一日
まで、学校管理下でおこった災害、事故
について調査することとなった。相当に
煩雑な調査ではあるが、この方面の資料
はほとんどなかっただけにその成果が期
待される。
なお十日までの全国の中間状況は別表
のとおりである。