教育年報1956年(S31)-051/73page

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日にできるよう格段の協力を要請した。
二、有所見者の面接指導
 先述した如く、集団検診の結果、これ
に適正な措置を施すことが極めて重要な
ことであるので、三十一年一〜二月の間
に三十年度有所見者の中特に注意を必要
とするものについて県下を五ブロックに
わけ実施した。因みに、三十年度集団検
診により発見した有所見者の数及び過去
との比較は別表1の如くであった。
(別表1)
  各年度有所見者取扱別数
  28年 29年 30年
要療養 173 86 42
44 14 11
217 100 53
要注意(観察を要する) 101 219 153
43 85 31
144 304 184
要注意(軽度) 126 91 263
49 53 115
175 144 378
合計 400 396 458
136 152 157
536 548 615
 三十一年度有所見者の取扱いについて
は、結核予防会が設定し厚生省、文部省
共に採用した。新しい取扱区分(別表
2)に従い、有所見者、各々について指
導を行った。三十一年度有所見者の面接
指導は会津方部を除き翌年度に持ち越さ
れたが、新しい取扱い区分による三十一
年度有所見者は別表3の如くであった。

(参考 別表4)
(別表2)    指導区分新旧比較表

  記号 内容
医師の面からの区別 1 医師による直接の医療行為(化学療法、外科手術など)を必要とするもの
2 医師による直接の医療行為を必要としないが定期的に医師の観察指導を受ける必要があるもの
3 医師による直接あるいは間接の医療行為を全く必要としないもの
  記号 内容
生活規正の面からの区別 A 勤務あるいは学業を休む必要のあるもの
B 勤務あるいは学業に制限を加える必要のあるもの
C 勤務あるいは学業をほぼ平常に行ってよいもの
D 全く正常生活でよいもの
(別表3)
31年度有所見取扱別表
 
A〜1 23 10 33
A〜2 4 0
B〜1 10 4 14
B〜2 37 13 50
C〜2 48 87 335
C〜3 123 45 168
(別表4)
各年度結核性疾患による
休職者数(4月1日現在)
  29年 30年 31年
221 257 212
139 111 82
360 368 294
 取扱区分にしたがって個人指導する
際、特に問題になるのは、主治医の見解
と相違する場合、及び転勤務の点で、あ
る。主治医と見解を異にする際は、結核
審査会の判定を優位に置き、文に十分主
治医の意見を反映させることを原則とし
ている。しかしこの問題は結局独善を避
け有所見者に愛情をもって接することに
よって十分解決し得ることと考えてい
る。
 次に軽勤務の点であるが、教員定数の
上でかなり窮屈な現状では、学校に一人
でも軽勤務を必要とする者がいること
は、学校運営の上に重大な支障のあるこ
とは事実であろう。しかしながら、結核
要注意者は必ずしも治療を必要とする者
でもなく、勤務を軽減することによっ
て、社会生活を営むことのできる者であ
り、また要注意者中、結核恢復者に対し
ては、勤務軽減の措置をすること。社会
通念上、また医学的に見ても当然のこと
と思われる。
 一方要注意者を全部、休養せしめるこ
とは、大きな問題で、でき得べくもな
い。この矛盾をいかに解決するかについ
ては常に苦慮する所であるが、われわれ
としては、学校当局責任者及び同職場の
者の理解と同情ある協力を望むと同時に
要注意者が、体力消耗を防止する場を職
場よりも、自らの家庭生活の中に作るよ
ろな努力すべきものと考える。
 特に恢復後の復職希望者は、単に治療
が終了したというのみでなく、治療終了
後、日常生活に堪え得る体力的自信を身
につけてはじめて復職するという良心的
心構えを持って貰いたいと思うものであ
る。
三、学校伝染病
 三十一年十一月に発生せる悪性感冒は
県下に慢延し、特に相馬地区においては
猛威をたくましくした。当事務局では、
これが流行の危険を予測し、悪性感冒の
予防措置について、各地方教育委員会、
各出張所、各高等学校宛通ちょうを発し
たのであるが、その後衛生研究所の調査
により、一部においてはインフルエンザ
であることが確定し、また隅々この悪性
感冒について文部省よりの通達もあり、
この悪性感冒をインフルエンザとして、
防疫対策を講ずるよう再び通牒を発した
のである。
 このインフルエンザの流行に際し、特
に反省せしめられたととは、伝染病多発
校の実態が容易に把握でき難いこでとあ
って、もちろん、われわれとしては、厚
生部当局と密なる連絡を取っていたので 

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