教育年報1956年(S31)-055/73page

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第七章教育調査研究所
 戦後新らしい理念の下で、福島県の教
育を振興するために、福島県教育研修所
が設置された。
 その後、事務局の機構改革に伴って、
調査課分室となり、昭和二十七年四月よ
り福島県教育調査研究所として現在に至
た。
 その目的とするところは、本県教育の
進歩改善に必要な諸問題を調査研究し、
本県教育の振興に寄与するところにある
が、教育の各領域にわたる調査と研究の
結果は、広く県下に報告書その他の刊行
物として一般の利用に供してきた。
 また附属施設として教育図書室を一般
に公開し、全国教育調査資料室と共に閲
覧に供してきた。
 このほか、県教育委員会の機関誌の編
集刊行、教育委員会の年次報告書の発行
配布にも当ってきた。
第一節 どのような事業を行いどう利用されてい
    るか
一、統計調査
 昭和三十一年度の事業の概要は、国で
行う統計法にもとづく諸調査を始め、文
部省が毎年行う定期的調査があり、県統
計課と協力の下に実施した。その件名は
次の如くであるが、各学校長、地教委教
育長の調査事務は相当量にのぼり、国の
教育施策の基礎資料の提供のため、説明
会、審査会等の会合出席をも含めて周到
な準備と熱意とを必要とした事務担当者
の負担した労力は大きかった。
学校基本調査・学校衛生統計調査・学校教員調査(県統計課に協力)
学校教員需給調査(公私立学校)
学力調査(公立小中高校の一部)
児童生徒の長期欠席調査(公立小中学校)
地方教育行政調査(地教委)
社会教育団体調査(地教委)
義務教育人口推計調査(地教委)
学校放送聴取状況等調査(公立学校)
修学旅行調査(公立中高校)
定時制夜間課程生徒実態調査(一〇%)
地方教育費実態調査(公立学校、地教委)
 また、当所独自の事業としては、
 教育行財政調査
 学校現況調査
 補欠授業実施状況調査
 特殊児童調査
を実施し、文部省関係の調査結果の分析
をも加えて
 次の報告書を刊行して関係方面の資料
を提供した。
 福島県学校統計要覧
 資料(第一号〜第一〇号)
 地方教育費実態調査報告書
二、教育研究
 第一項に掲げた統計調査と教育研究の
別は、その仕事の内容、性質によって区
分したものではなく、当研究所の処務規
程における調査係、研究係でそれぞれ担
当した事務による区分である。
1 昭和三十一年度事業の概要
知能別に見た算数学力基準設定のための
研究
 月報六月号で「実験学校・研究員の設
置について」をもって、その目的及び計
画について報告してきたが、結果は年度
末に報告書を刊行する予定である。
 ことに本年度は、研究員を現場教育で
の教育研究のリーダー格の養成に主力を
おいて研究員の研究打合会を年四回行っ
てきた。この研究結果は、先の報告書に
研究員の研究報告の章を設けて発表す
る。
小学校の算数評価の研究(二ケ年継続)
 月報十月号に「これからの算数・数学
の学力評価」でこの研究の目的及び計画
を明かにしておいたが、本年度はその初
年度にあたり、予備研究の段階である。
高等学校入学者選抜学力検査に関する調
査研究
 学力検査問題作成及び現場での学習指
導のための参考資料の提供と、学力検査
方法はどのようにあるべきかの研究を目
的としたもので、前者については"資
料"一〜五号及び七、八号に、後者につ
いては同じく十一号を以ってそれぞれ報
告した。
全国学力調査
 前記の三つの事業は本県独自の事業で
あったが、この調査は九月二十八日全国
小、中、高校に実施された。
 月報七月号に「今秋実施される学力調
査のあらまし」で示したように、文部省
の計画実施に協力したものである。
 この調査結果は"資料"十号を以って
全国との比較を添えて報告したところで
あるが、中学校の成績が悪く、今後何ら
かの処置が講ぜられなければならないこ
とは、調査研究の目的にてらしても当然
のことであった。
 当研究所では、小学校での基礎学力を
高めて、中学校に送ることができるため
に、また中学校では入学した個々の生徒
の学力の実態を挿え、それに基づいての
指導計画の樹立と、小学校でどのような
学習内容が取扱われたかを明かにする目
的で、診断テストの性格を多分に織り込 

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