教育年報1957年(S32)-010/71page
教諭及び養護教諭への昇任について
は、免許状の取得状況及び勤務実績を
考慮する。
五、降任及び退職について
降任及び退職については、勤務実績
並びに生活事情等を考慮して慎重に行
う。
なお昭和三十三年度における年間人
事についてもこれに準じて行う。
(2) 年度末人事の概要
昭和三十二年度末教職員入事異動に当
っては、市町村教委及び関係方面の協力
を得て、県下全域にわたる教育の向上と
刷新充実をはかるべく努力を傾けた次第
である。
まず交流については、総数小中学校合
わせて約二、九〇〇件に上ったが、
(一) へき地とへき地外の交流は七三〇名
に及び
(二) 都市と農村の交流においては九六〇
名に達し共に昭和三十一年度末を上回
る件数であった。
(三) 小・中・高の学校種別間の交流も昨
年より大幅に行われた。
更に永年勤続者についても、小中学校
を合わせ一、七〇〇件の交流を行い、各
学校教職組織の適正化を図った次第であ
る。
特に本年度末は中学校生徒の自然減に
伴う教員定数減の措置として四〇〇件に
及ぶ中学校勤務者の小学校への配置替を
余儀なくざれたが、これが計画実施につ
いては、学校運営に支障を来さぬよう慎
重を期した次第である。
新採用については県財政再建計画実施
の途上にあるにもかかわらず一七〇名の
小中学校教員定数増の実現により、小中
学校約四五〇名の多数を採用ずることが
でき、教育界に清新の気を吹き込むこと
のできえたことも、関係各位の御協力の
しからしむるところと信ずるものであ
る。
また新たにおかれる教頭の人事につい
ては、その職務の重要性にかんがみ校長
人事と同様慎重を期したところである。
ことに多年本県教育界に貢献された相
当数の先輩の方方が、本県のおかれてい
る客観的諸情勢を理解されて御勇退にな
り、後進に道を開かれたことに対し深甚
なる敬意と感謝を捧げる次第である。
特に本年度末退職者に対する優遇措置
として退職手当に関する条例第五条を適
用されたことは誠に時宜に適した措置で
あった。
なお相当年令の講師、助教諭等の方方
に御勇退を願って教育界に清新発刺の気
分を注入したことや、いわゆる非行教員
あるいは指導力の低位にある教員に対し
ては教育の刷新充実の立場から、昭和三
十一年度末人事と同様断乎たる態度での
ぞんだ次第である。
(3) 教員の新採用について
昭和三十三年度本県公立小中学校教職
員採用悲願者数は、出願者の中、資格条
件に適合した者は一二〇〇名の多きに達
した。
新採用にあたっては、前年度に引き続
き厳選主義をとり、適格者を得る方針の
もとに、身体的諸条件の審査、筆答試
験、第一次、第二次面接を実施して、県
下各地教委にあっ旋する資料を整備した
次第である。
特に本年度における新採用筆答試験
は、小中学校採用志願者全員について、
四年課程、二年課程別に一般教養、教職
教養、専門教科、作文を課し教育職員と
して必要な全領域について試問し、その
結果にしたがって第一次、第二次の面接
を経て採用するという手順によったもの
である。
更に新採用にあたっては、県下全域に
対する教育の機会均等の実現と将来の広
域人事の円滑を期する観点から、出身地
ブロック外の地域に採用ずる方針をとる
と同時に、都市農山村、へき地校に新採
用者を均点せしめるように配慮したこと
は本年度新採用方針の特色である。
新採用者数は小中プールにして一七〇
名の教員定数増の実現により当初予想さ
れた数よりはるかに上回る結果となった
ことは、県下教育界に清新にして発刺た
る空気を漂わし、教育の効果と能率の向
上に大いに益されるものと信ずる。
年度当初における新採用者数は小学校
において約三〇〇名、中学校において約
一五〇名であって、志願者数に対する割
合は小学校約八割、中学校約二割の状況
である。
中学校においては生徒の自然減に伴う
教員定数減の結果多数の優秀な未採用者
を生ずる結果になったことは誠に遺感で
あるが、年間には相当数の採用が実現さ
れるものと思料ざれる。
(4) 校長の新採用について
校長の新採用については、資格、人物
実務、健康、家庭環境等について、綿密
に選考し、有能者を抜てきするという方
針のもとに、また採用にあたっては、そ
の地域に居住し,校長職に専念できるも
のを第一義とし、なるべく他管内にあっ
旋し、もって県下全域にわたって、教育の
能率向上と刷新充実を図るよう努めた。
選考にあたっては昨年同様、校長新採
用志願者全員に対して各出張所管内毎
に、同一問題について同日同時間に県下
一斉に筆答試問を実施し、更に各ブロッ
ク毎に全員に対して、面接を実施して有
能者の選考抜てきに努めた。
筆答試問及び面接の内容ば校長として
の適格性と、学校経営の全分野にわたる
根本的な、基本的な問題に対する校長職
としての理解と判断と能力とを評価する
ものを課した次第である。採用を願いで
た全員に対し以上のような選考方法によ
り、適格者を得るよう努力した。
本年度の採用志願者数ば四一一名で昨
年度より一〇名の増加をみたが、新校長
として抜てき採用されたものは三二名で
あり、昨年度の六六名の新採用者数と比
較すると半数に満たない状況である。
なお三二名の中一名の新婦人校長が出