教育年報1957年(S32)-046/71page
第五章 保健体育
昭和三十二年度に行われた重要事項を
概括的にのべれば
1 福島県スポーツ審議委員会の発足
県内におけるスポーツに関する自主的
団体の意図により、県内のスポーツ振興
と青少年体育の健全な発達を目標に、県
体育協会が音頭をとり、関係団体の代表
者三十余名を以て組織し六月に発足し
た。
2 体育指導委員(振興委員)の設置
県内のいかなる小部落にも、正しいス
ポーツと生活を豊かにする運動を展開す
る目的で(全国に二〇、〇〇〇人の体育
指導委員をおく趣旨が発表されるや)本
県は全国においてもそのトップに立って
早速五〇〇名を委嘱し、年度後半ながら
着々、県内の津々浦々に普及すべく動き
を示している。
3 学校における生ミルク給食の実施
学校給食普及に努力しておった矢先、
文部省、農林省から、学校に生ミルクを
廉価斡せんする計画が通達され、本県と
してもこれが趣旨の適切なるを認め一月
から三月末までの間県内約二〇〇校にこ
れを実施した。
4 健康管理の充実対策
(1) 学校医の災害補償に対する県条例の
作成
(2) 学校児童生徒災害補償に対する「安
全会」の如きものの設立についての基
礎調査
(3) 結核生徒児童が入院養護しながらも
義務教育の課程を終了させるような特
別養護学級開設のための準備
(4) 「よい歯」のコンクールの実施
(5) 中学校を健康優良校の対象に加え、
学校保健の意義を一層深めることがで
きた。
(6) 保健体育研究指定校の成果は、斯道
振興に大きな貢献をもたらし県内各校
とも大いに研究意欲をもり立てたこと
が認められる。
(7) 学校保健研究大会-原町市-
学校保健、健康教育の重要性を新た
に認識させ、全国大会との連がりにも
大いに役立った。
(8) 教職員の結核管理については実態に
即した適切な処置によって、今年は特
に回復者を見た。
5 体育施設設備の充実
県営運動場、体育館、スポーツ施設な
どの充実について、関係者と連絡のうえ
研究をすすめ実現に努力している。
このように学校における保健・体育・
給食の各分野にわたって行政的な管理と
教育的な指導助言などを行い、さらに社
会体育面の行事運営と各種団体の強化育
成を担当しているのが、保健体育課分掌
上の内容である。
しかしこのような仕事が実際上効果を
あげてゆくためには、さらにこれに関係
する、外部団体と緊密な連絡提携をと
り、自主的活動を指導育成しながら運営
しておかなければならない。
学校保健協会、体育研究会、体育協会
中学校体育連盟、高等学校体育連盟、学
校給食会などは、直接保健体育課の事務
執行の場合において常に協力的関係にあ
り、切り離されない立場にあるので、こ
のような広範囲にわたる指導助言を与え
ながら時々刻々に変化する、具体的事象
に対し、比較的少い課員で運営処理して
いるのが、保健体育課のすがたである。
第一節学校保健関係教職員に対する研修をどの
ように行ったか
学校保健は教科部門のみならず広い分
野を持っており、しかも研修の機会が割
合に得にくい。学校には養護教員は約35
%設置されているにすぎず、養護教員の
いない学校ではどの先生かがその立場に
おかれるわけで、専門的知識がないため
苦労している先生も多い。また、学校保
健は一般の先生方、地域社会の人々の理
解と協力なくしては成果はあげ得ないの
で、できるだけ研修の機会を多く、さら
に専門的立場にいる人のみならず一般の
先生等も参加し得るよう実施に当り考慮
した。
一 第五回東北学校保健学会
日 時 五月二十五日
場 所 福島市教育会館
参加者 東北(含新潟)各県の小・中
・高校教員、学校医、
学校歯科医、学校薬剤師、
大学関係者等約七〇〇名
特別講演 最近における欧米の学校保健
(ストレスについて)
東京教育大学教授 杉靖三郎氏
シンポジアム 教職員の健康管理
研究発表 福島市小・中学校の炭酸ガ
ス測定について外二十件
ニ 第六回福島県学校保健研究大会
日 時 七月十三日、十四日
場 所 原町市県立相馬農業高校
参加者 学校長、保健主事、養護教員
学校医、学校歯科医、一般教
員、PTA、児童生徒約六〇〇名
特別講演 学校保健について
文部省保健課長 塚田治作氏
研究協議題 児童生徒の安全と健康
-とくに安全生活について-
全体協議