教育年報1957年(S32)-061/71page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


査を行いその結果から年間の指導方法、

教科課程のたて方などについての反省資

料がえられる。

 以上のような目的をもった学力検査問

題を、まず国語・算数(数学)の二教科

について三か年計画で小・中学校の全学

年にわたって作成することにして、第一

年度たる本年度は、小学校五・六学年、

中学校一学年について作成することにし

た。

 作成の経過は

1 学習指導要領、教科書の分祈、二回

 の予備テスト、学力検査問題作成委員

 会の検討などを通して学力検査問題の

 作成

2 標準化のために小学校・中学校とも

 に四十一校、児童・生徒数約一三二〇

 〜一四三〇名の標本について、昭和三

 十三年二月二十五、六の両日テストを

 実施

3 三月二十日に小間別の正答率を公に

 し、その後標準化、診断-治療のため

 の誤答分析の作業中を進めている。

 今後は(3)の結果をまって学力検査実施

の手引・処方箋の作成とともに、この学

力検査問題が随時各学校の需要に応じえ

られる方法を講ずることにしている。

(2) 算数斜四観点の評価のための記述尺

  度の作成

 指導要録の学習記録の「評定欄」は個

人間差異をみる相対評価であり「所見

欄」は個人差異を明かにする絶対評価

で、示された四つの観点を比較して比較

的すぐれているものに○、比較的劣って

いるものに×印をつけることになってい

る。

 しかし、この絶対評価も現在の段階で

は相対評価を通さなければできないとの

立場に立って、しかも一般に困難視され

ている観察面での四つの観点評価のた

めの記述尺度の作成を行った。

作成の手順は

1 小学校の一学年から六学年まで各学

 年に二名宛の研究員を指定し、観察さ

 れた算数的な児童の行動の具体的な記

 録を指定のカードに記入し、その提出

 を求める。

2 このカードを四つの観点ごとに、そ

 の表われた場面・内容に従って分類す

 る。

3 分類された各領域ごとに学年段階を

 迫ってカードを積み重ね、これから記

 述尺度を導き出す。

 この研究結果は整料で発表した。

(3) 社会・理科の学力検査

 交部省は昨年の国語・算数(数学)の

全国学力調査に続いて本年は社会・理科

の全国学力調査を意図して調査の対称校

(標本校)を指定してきた。

 研究所はこの対称校を本県の標本とし

た場合の妥当性を学校規模の上から検討

し、妥当性が保たれるよう本県独自の標

本を加えて指定された九月二十七日に全

県一斉に学力調査を実施した。

 調査の結果は文部省の第一次中間報告

との対照のもとに資料一七をもって公表

した。諸種の面からわれわれの注意を引

くものは小・中・高等学校ともに社会は

学力偏差値が四六、また小・中学校の理

科もともに四六で学校種別、教科に関係・

なく同一の相対的な位置ずけをもってい

ることである。

以上が研究係において進めてきた研究

の概要である。

三、教育広報

 県教委の機関誌としては

(1) 福島県教育委員会月報

 があり、年一〇回刊行し、教育行政の

能率化、教育に対する正しい世論の育

成、教職員の研修を目的として編集し

た。

 年次報告書としては

(2) 福島県教育年報

があり、昭和三十二年度の事業概要と教

育の現況を報告した。 (本書)

 調査報告書としては

(3) 資料(調査報告書)

があり、主として調査結果にもとづく行

政資料として関係方面への利用に供して

きた。

 このほか、県広報主管課と連絡を密に

し、県の広報活動のうち、教育の分野に

ついての資料の提供、意見の具申等を行

い、放送、映画、刊行物等の一部で教育

の現況を広く県民一般に理解を求めた。

第二節教育図書館はどう利用されたか

1附属施設の図書室は蔵書冊数(三三・

二・二八日現在)

  一般図書     七二六〇冊

  教育研究資料  三五〇〇冊

である。蔵書構成も教育関係図書に重点

をおき一般教養図書も収書している。

 教育研究資料は全国各県から寄贈され

た研究紀要、教育月報、それに月刊雑誌

三十数誌を加え教育の現況を知るうえに

便利になっている。

 図書室の利用は自由接架式を採用し、

所員の研究を主として県内教育職員の研

修、福島大学の学生等に開放しその数も

年々増加の傾向にある。その他県内の教

育研究者にも便宜を与えるようになって

おり、昭和三十二年度中の図書資料の利

用状況は次のとおりである。


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。