教育年報1962年(S37)-057/169page

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 ところで,教育委員会事務局内に学力向上対策につい

ての会議がひらかれ,各課から委員をあげて検討するこ

とになったが(注1)「学力向上についての当面の対策」

が策定されるまでの日誌は次のとおりである。

 ・ 5月 1日 第1回の会合をひらき,原案作成のため

         の小委員会を設けることとした。

 ・ 5月 9日 小委員会

 ・ 5月14日 第2回全体会で第1次素案の検討

 ・ 5月18日 小委員会で,さらに改訂原案分担

 ・ 5月31日 内容の討議

 ・ 6月14日 同上

 ・ 6月30日 総括のための討議

 ・ 7月 5日 素案原型のまとめ

 ・ 7月27日 教育委員会において説明

 以上第1次案までの経過であるが,6月県会において

教育長が「来る9月県会において,対策をあきらかにす

る目途をもって鋭意検討中である」との答弁を行なって

いるので,第1次案の説明にまでいたったわけであるが

原因探究の資料等にいまだしの点もあり,表現について

も難点があるため,学校教育課指導係および教育調査研

究所員の協力のもとに,とくに要因に関する資料の整備

には,もっぱら研究所員が担当することとして,第2次

案の策定作業をすすめることとした。

 ・ 8月11日 小委員会

 ・ 8月25日 全体会において第2次案を検討,小委員

        会の原案を了承

 以上第2次案の決定まで通算11回の会合になったわけ

である。

 この間,作業はどのような内容方向においてすすめら

れたであろうか。まずわれわれは,児童生徒の学力に影

響をあたえる条件は,「児童生徒の主体的条件」「教師

の条件」「学校の条件」「家庭の条件」「教育行財政の

条件」「社会の条件」の複合的なものとみて,それぞれ

について分析考察をすすめ,その結果次の7つの問題点

を仮説とした。

 (1) 授業充実の問題

 (2) 校長,教頭の指導性の問題

 (3) 教職員の配置ならびに組織の問題

 (4) 施設,設備の問題

 (5) 指導行政に関する問題

 (6) 家庭の学習に対する関心度の問題

 (7) 本県社会の文化度等の問題

これらの仮説に検討を加え,一応の見とおしを得てから

 ・ 8月31日

 ・ 9月 1日 の2日間にわたり出張所長会議において

        検討

 ・ 9月 3日 学校長代表の意見聴取

 ・ 9月 4日 地教委代表の意見聴取

 ・ 9月17日 教職員代表との意見交換

 等をへて,7つの仮説内容はほぼ妥当なものであると

の見解に達したので,各意見を総合案配するとともに,

一方すすめられていた教育研究所による資料の整備を行

ない,それらにもとづいて,第2次案をさらにととのえて,

 ・ 9月19日 の教育委員会において,「学力向上につ

いての当面の対策」を決定し,同日午後5時教育長談を

そえて発表したのである。

 本対策は,知事部局をはじめとし,各学校,市町村当

局ならびに市町村教育委員会に送付し,協力をもとめた

ものであるが,総じて本対策の立場は,

 (1) 多元的な見方に立ちつつ,焦点化をはかる。その

  焦点は,学力形成の中核的「場」である授業の充実

  におく。

 (2) 学力規制要因を構成するおのおのの立場で責任を

  つくし,その結果の結集によって実効をあげる。

 (3) 継続的に検討を加え,長期にわたって努力する。

 (4) 学力向上の活動によって教育にゆがみを生じさせ

  ないよう,じゅうぶんに配慮する。

 (5) 学力を向上させようとする正常で,しかも熱意あ

  ふるるモラールに立つ。

 という5つに要約できようかと考える。さて本対策の

 ねがうところをひろく訴えるためには,とくに

 ・10月 5日 出張所長協議会において,一般の経緯に

  ついて説明するとともに

 ・10月26日 以降11月10日の間に行なわれた第10同市

  町村教育委員会関係職員研修会において,「本県小

  中学校学力の実態」について教育調査研究所から,

  および「市町村教育委員会における学力向上対策に

  ついて」指導係から,それぞれ説明,現場における

  学力向上施策の諸問題についてアッピールし,協力

  を要請した。

  (福島県市町村教育委員会連絡協議会会報38号参照)

3 実質的な活動の展開を開始

(1) 教育先進県の視察

 ところで,本37年度の学力向上対策樹立と実施のため

の経費は,当初予算に見込まれていなかったために,6

月追加予算で調査,会議等の経費,9月追加予算では,

視察,会議,印刷製本,備品等の諸経費1,200千円が計

上されたので,実質的な活動が展開されることとなった

のであるが,まず「当面の対策」第1項(2)による指導法

改善の資料をうるためのプログラム,アナライザーや,

ティーチング,マシンを購入し,教育調査研究所によっ

て実験が開始されている。


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