教育年報1963年(S38)-052/180page
3 交流
今年度末人事は昨年度に引き続いて,新採用および県
立学校以外からの転入件数が人事総件数の約半数を占め
ることになったが,新設高校の教職員組織や,多数の新
採用教員の配置に伴なう異動に加えて,全定交流都市
と周辺校間の交流につとめ一応所期の目的を達し得たも
のと考えられます。
第5節 教職員の免許
1 免許制度の意図するもの
教職員の免許制度は,人間の精神形成を目的とする
「教育」という特殊な知識・技術を要する仕事につい
て,国家が国民に対して,その安全性を保証するための
制度である。
周知のとおり,わが日本国憲法第26条には,教育に関
する権利義務蘭係を規定しているが,末熱な生長発達の
途上にある児童・生徒には,事実上,教員の選択権はな
く,他面人格形成のうえで,最も強く教員の影響を受け
るものである。そこで,免許法は,教壇に立って児童・
生徒を教育するすべての教員の資格を規定して,徹底し
た免許状主義をとっているわけである。
現在,本県における普通免許状を所有している教職員
の,全体に対する百分率は次のとおりである。
小学校の場合 94%
中学校の場合 98%
高等学校の場合 98%
上述のように,免許状は,すべての教職員について普
通免許状を所有していることが望ましいのであるから,
極力,通信教育,認定講習などの現職教育の機会を利用
して,上級免許状取得のため,努力することが望まれる。
2 免許状授与の状況
教育職員検定願・教育職員免許状授与願及び教育職員
免許状交付願により,本年度において授与した免許状は
次のとおりである。
小学校教諭一級普通免許状 274件
小学校教諭二級普通免許状 68件
中学校教諭一級普通免許状 252件
中学校教諭二級普通免許状 625件
高等学校教諭一級普通免許状 14件
高等学校教諭二級普通免許状 248件
幼稚園教諭一,二級普通免許状 91件
養護教諭一,二級普通免許状 11件
盲・聾・養護学校教諭一,二級普通免許状14件
教育職員臨時免許状 53件
3 免許状上進のための単位修得方法の改正
現職教員が,自己の有する免許状を上進しょうとする
場合の単位修得の方法は,昭和29年9月,免許法の大巾
な改正の際に定められたものであり,そのままでは現状
に即さない点が多くなったため,これを改正し,昭和38
年7月1日から施行された。改正の主な点は,次のとお
りである。
(1)免許法附則第11項の規定により,実習助手が高等学
校教諭普通免許状の授与を受ける場合の単位の修得方
法が新たに加えられた。
(2)養護学校教諭普連免許状の授与を受ける場合の単位
の修得方法が新たに加えられた。
(3)高等学校関係を除く仮免許状(仮免許状に係る所要
資格証明書を含む)から,普通免許状に上進する場合
の単位の修得方法が削除された。
(4)各教諭普通免許状の授与を受ける場合,全般的に,
必修の単位が増加し,自由選択の単位が減ぜられた。
(5)各教諭免許状の授与を受ける場合に,一般教育科目
中,社会科学について,2単位以上の修得を要すると
きは,日本国憲法1単位を含めて修得するよう改めら
れた。
(6)小学校,中学校の教諭免許状の授与を受ける場合
に,一般教育科目中,人文科学について2単位以上の
修得を要するときは,哲学,倫理学,宗教学の何らか
1科目について,1単位を含めて修得するよう改めら
れた。
(7)小学校教諭免許状の授与を受ける場合に,教職に関
する専門科目のうち,教材研究の単位の修得方法が強
化された。
(8)中学校,高等学校の教諭免許状について,増加教科
しょうとする場合の教料専門科目の単位の修得方法
が,大学における直接養成の方法と同様にされた。
(9)養護教諭免許状及び盲・聾学校教諭免許状の授与を
受ける場合の単位の修得方法が改められた。
なお,今回の改正に伴う経過措置については,免許法
別表第3及び第6ににより免許状の授与を受ける場合に
は,昭和39年5月31日までは,従前の単修得方法による
ことができることになっている。
4 おわりに
免許状授与事務の執行については,毎月,月末までに
受付けた出願書類について,翌月1日付で免許状を作成
し,所轄出張所を経由して,学校長から本人へ交付する
ことになっているが,書類上の不備から,免許状の授与
を受けられない場合が,ときどき見うけられます。各出
張所には,免許担当の係員を置いてあるので,出願しよ
うとする場合には,相談のうえ,間違いのない書類を提
出するよう望んでいる。