教育年報1963年(S38)-053/180page

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学校教育

 第1節 概  要

1 指導行政の基本方針

 学校教育の目標は,児童生徒の学力を高め,生活指導

を徹底して,望ましい人間を形成することにある。本年

度県教育委員会の努力目標の第2項および第3項にもこ

の2点が掲げられている。

 指導室は,これを受けて,教職員の研修を強化し,新

教育課程の完全実施をはかり,学習指導法を改善して学

力の向上に努めると共に,人間尊重の精神に基づく道徳

教育,生活指導の拡充強化に努めることになったが,特

に今年度は学力向上の施策に重点をおいて進めてきたと

いってよい。

 このために本庁および出張所の指導組織の強化をはか

り,教職員の指導力の育成に努めるかたわら,各種の研

修活動の活発化をはかり,現職教育を振興し,多数の教

職員に参加の機会を与えて資質の向上と指導法の改善に

努めてきた。

 すなわち,学習指導法講習会を地区別に行なって学習

指導の改善をはかり,農山村地帯の学力に特に注意をは

らい,当該地域に学力向上推進校を設置して学力向上の

気運の醸成をはかるとともに,教育調査研究所と提携し

て本県児童生徒の学力の実態とその原因をさぐり学習の

個別化と能率化の研究浸透をねらってきた。

 また一方において自主的研究団体の育成をはかり,一

般の自主的な研修意欲のもりあがりにそって指導助言を

充実してゆくよう努力した。

 学力向上の内容は,新教育課程にそうべきものである

から,教育課程研究集会の運営を適切にすることによっ

て現場の実態が,新教育課程の完全実施によって充実の

度を高めるよう配慮した。

 なお学力向上の問題は,根底において,道徳の指導お

よび生活の訓練にささえられているものであるので,こ

の面の指導に力をつくし,品性のとうやと学力の向上を

密着させ,人間形成にひずみをもたらすことのないよう

道徳教育の指導を強めるとともに,生徒指導主事を中心

として校外生活指導の組織を確立し,更に小中高等学校

ほか各種施設との共同研究の機会を多くして一貫した指

導技術の振興をはかった。

 さらに,校長,教頭の指導性を高め,教育管理の向上

をはかって学力問題の解決に迫るとともに,社会教育と

の連絡を密にして,地域社会および家庭の理解と協力を

うることにつとめ,総合的に,児童生徒の学力向上をは

かろうとつとめた。

 他面,科学技術教育,産業教育の刷新強化をはかって

時代の要請にこたえることとし,教職員の質の向上,設

備の充実にいっそうつとめることとし特に理科教育セン

ターの設立準備に意を用いた。

 なお養護学校の教育ならびに特殊学級の教育,へき地

教育等の充実につとめ,本県教育の水準の向上に実質的

な努力を継続してきたしだいである。

2 指導組織および運営

 県教育委員会では,教育指導行政の強化をはかり,事

務局機構において学校教育課を解消し,学務課と指導室

を新設し,指導行政の主管の責任を明らかにし,指導室

長および室長補佐を含めて指導主事は14名となり,小,

中,高全教科並びにその他の指導事務を分担した。

 出張所は16出張所とも各管内2名あて32名の他,市町

村教委身分の指導主事18名を加えて50名となり,各管内

の指導のために労をいとわず活躍した。また5地区に生

徒指導主事を配して特に中等教育の生活指導のかなめと

なって活躍してもらった。

 なお各管内5名あて計80名の指導委員が委嘱され,指

導係の活動に協力して小,中,高校の指導行政の強化に

当った。

 この他,全く自由な立場で県の教育の実態について忌

たんない感想や意見を聴くために福島大学教授陣より5

名の視学委員を委嘱して指導行政の適正を期待した。

 これらの組織の緊密化をはかり,指導の効果を高める

ために,学力向上対策指導主事会議を年5回開催し,ま

た研修の一環として「各教科指導の要点」の編集を行な

い,「学力向上の手びき」「授業充実の手びき」の姉妹

篇として指導内容の細部に触れて研究を行なってきた。

また「学校教育」を隔月を配布し,その内容の充実をは

かるとともに文書による指導に努力をはらった。

  指導委員の教科別人員は

   国語1 数学2 理科1 音楽13 美術12

   技術家庭14 家庭16 外国語16 道徳5 計80

3 学校教育指導の重点

 (1)学力向上のための現職教育の充実をはかった

1) 授業充実の改善強化

 ア 学習指導法講習会,山村教育研究会,複式学級指

  導計画例説明会

  小規模学校経営研究会その他の講習会,研究会を効

  果的に運営開催し,指導力の向上をはかる。

 イ 学習指導の個別化,能率化の促進に努め学力向上

  推進校(小,中),学力向上研究指定校7校(高校)

  を中心としてその研究の拡大をはかる。


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