教育年報1963年(S38)-068/180page
3 「施設・設備の充実をはかる」についで
施設・設催の充実は財政的な裏づけによるところが多
大であり,市町村教委の協力にまたなければならない。
県全体としてめだった点をあげてみよう。
(1)高校の新設
高校進学希望者の急増期を迎え,6校の新設をみた。
なお,学級増もあり,収容生徒数は増加したが,それに
見合う設備の本年度における充実率ののびをみると,小
学校では8.5%,中学校では4.6%,高等学校で5.1%で
ある。産業教育の設備では,高校で5.1%ののびとなっ
ている。しかし,これら設備の現有率は,全国平均を下
まわっているので,今後とも努力していく必要がある。
4 「教職員の組織ならびに配置を改善する」に
ついて
高校生徒の急増に伴い,高校教員の定数も増加し,こ
れを確保するため,小・中学校から約200人の教員を送
る結果となり,小・中学校の教員組織は,そうとうの打
撃をうけ,前年度より必ずしもよくなったとはいい難い
点が認められる。このような事態の中において,改善に
努力したのは次の諸点である。
(1)教員の定数増をはかり,小学校では本校,分校と
も,4学級以上に担任外をおくようにした。また,18学
級以上に事務補正として,教員1人の増員をはかった。
(2)中学校に対しては,学校規模別,免許教員数の表
を各出張所に配布し,教員配置改善の資料として,これ
を生かすよう努力した。
(3)特殊学級は,市町村から設置希望のあった全学級
を認可し,11学級の増加をみた。
(4)統廃合による学校規模の適正化の面では,小学校
の分校で9校,中学校の本校で9校,分校で2校が統合
された。
(5)へき地の学校に対し,都市地域等から中堅級の教
員をばってきして送り,都市と農山村との人事の交流件
数をふやすなど,へき地の教員組織の改善をはかるとと
もに,へき地教員に希望を持たせるように努めた。
5 「指導行政の充実強化をはかる」について
(1)指導室の設置
県教委事務局の機構改革に伴い,指導室が独立し,指
導行政を専門に担当することになった。室員は,室長
1,室長補佐1,指導主事12であり,庶務関係の事務は
学務課で担当することとして発足した。
(2)指導委員の委嘱
従来のとおり,出張所における指導主事の活動をたす
け,指導力の充実をはかるため,80人の指導委員を委嘱
し,その旅費の増額(1人5,000円)をはかった。
(3)視学委員の委嘱
本年度から新らたに委嘱することになったもので,そ
の要点は次のとおりである。
1) 委嘱要項
昭和38年度 福島県視学委員委嘱要項
1 目 的
本県の現職教育および学校における教育活動のあ
りかたについて,専門的な見地からの援助を得て,
児童・生徒の学力向上対策の充実を図るため,福島
県視学委員を委嘱する。
2 任 務
福島県教育委員会(以下委員会という)の計画に
基づき次のことを行なう。
(1)本県の現職教育のありかたについて教育長の諮
問に応ずる。
(2)本県の小・中・高等学校を訪問し,教育活動の
ありかたについて教職員の指導助言にあたる。
3 委 嘱
本県内の学識経験者の中から,次の各部門ごとに
1名ずつ選考し,教育長が委嘱する。
学習指導・教育相談・社会・理科・技術・家庭・
工業
4 任 期
委嘱された日から本年度末までとする。
5 報 告
学校訪問を行なった場合には,その学校名と訪問
状況の概要について教育長に報告するものとする。
6 経 費
学校訪問に要する旅費ならびに謝金等について
は,予算の範囲内において委員会が負担する。
2) 委 員 名
学習指導 福島大学教授 西川幸雄
教育相談 〃 田口孝之
社 会 〃 安田初雄
理 科 〃 窪田実
工 業 福島大学助教授 松木友正
3) 本年度の訪問状況
視学委員・職・氏名 おもに担当
する領域関係出張所 訪問した
高等学校訪問した
小・中学校訪問期日 福島大学教授
西川幸雄学習指導 田村 田村高校
同御館分校御館小校
滝根中校11月28・29・30日