教育年報1963年(S38)-149/180page
の家庭での学習を基礎として,これに学習の個別化,フ
ィードバックの学習理論をとり入れた学習指導の方法を
組織化しょうとした。
(2)研究内容
1) 教材の論理と生活の論理に即した学習指導計画案の
作成
教材としての系統をきめ細かに分析する反面,児童
の思考または,認識の過程を予想し,教材の系統性と
児童の認識や思考の過程に見合った指導計画案を作成
する。
2) 能力に応じた自主的な学習のさせ方の研究
指導計画に示された学習内容をどのようにして家庭
学習―自主的な学習をさせるか。予習のしかたを分析
し,児童の能力なりの自主的な学習ができるような予
習課題の提出の方法を研究する。
3) 学習の個別化,フィードバックを取り入れた学習指
導法の研究
家庭で予習によって高められたレデネスの上に,児
童が予習の段階で個別的にとらえてきた問題点から共
通の学習問題を組み立て,学習の場においてフィード
バックや集団思考を通して問題の解決をはかる指導法
を研究する。
4) 以上の研究を,実験学校において検討しつつ,漸次
目的に即した指導法を組織化するとともに一般への普
及を図る。
(3)組 織
福島県教育研究所は,実験学校を設けその学校の教職
員を福島県教育研究所組織規則第8条による研究員に委
嘱し,研究所との共同研究を行なうことにした。
1) 教科担当
・国語 六角新之丞,長谷川磐雄
・社会 若林宏道
・算数・数学 河野利作,山川和二
・理科 花沢繁
・英語 田崎宗寿
2) 実験学校
・安達郡安達町立油井小学校(昭和37年9月より継続)
校長 中村昌幸 学級数13
・伊達郡桑折町立半田醸芳小学校
校長 五十嵐秀夫 学級数13
・福島市立平野小学校
校長 佐藤厚友 学級数15
・福島市立西根中学校(英語のみ)
校長 大橋賢治 学級数14
(4)研究過程
1) 研究についてのオリエンテーションおよび準備
研究第1年目である平野小学校,半田醸芳小学校に
ついては,4月から5月まで所員が毎週1回訪問し,
教科指導法と研究主題についての理論と方法の研究を
分科会や全体会で,また,西根中学校においては,英
語科担当所員が訪問し英語科の望ましい学習指導の方
法について分科会で研究を行ない,授業への実践のレ
デネスを高めた。
ア 研究教科部会
実験学校の研究員が国語,社会,算数,理科のうち
1教科を研究教科として選択し,研究教科部会をつ
くり,それに担当教科の研究所員が加わり研究主題
の研究を行なった。
イ 内 容
(ア)研究主題による学習指導法
・授業の必然的な流れとしての予習課題の設定
・個人差に見合った予習的課題の設定
・学習方法の習得と,自主的な学習態度の育成を目
ざす学習指導
・児童の反応の確めと効果的なフィードバック
・より多くの者を学習に参加させる(学習の個別
化)ための留意点
・望ましい学習指導法の組織化における学習指導過
程
・きめの細い教材研究の重要性
(イ)実験研究のための資料整備
・知能検査,4教科の学力検査
・交友関係調査,学習態度の調査
・学習指導計画の検討
・研究計画の立案
2) 授業への実践
ア 平野小学校,半田醸芳小学校における研究
昭和38年6月から,実験学校の研究員が研究教科に
ついて各自が研究主題にそった指導案を作成してそ
れによって授業を行なった。
なお,研究所員は6,7月は毎週1回4教科担当全
所員,9月から昭和39年2月までは毎週1回2教科
担当所員が実験学校を訪問し,授業参観,授業者と
の研究討議などによって,授業の実践を通して研究
を行なってきた。
イ 西根中学校における研究
昭和38年12月までは毎週1回英語科担当所員が訪問
し,望ましい英語科の学習指導法について,授業参
観,授業者との研究討議など授業の実践を通して研
究を行なってきた。
ウ 油井小学校における研究
研究第二年目の油井小学校においては,第1年目に
体得した1教科の指導技術を同学年担当の他の教師
と相互に広めあい,2または3教科について研究主
題にそった指導案を作成してそれらの授業を行なった。
なお,研究所員は,6月から12月までは毎週1回全