教育年報1963年(S38)-151/180page
高めるにはどのようにしたらよいか。授業の中で次
時の予習的課題はどのようにして設定されるか。
2) 研究結果の普及
ア 公開日の設定
毎月第1火曜日を公開日として一般に授業参観を許
し,研究内容について理解する機会とした。昭和39
年2月までにおける参観者県内の学校数は約70校で
教員数は1,000人,県外からも青森,岩手県などの
教職員の参観もあった。
イ 中間報告研究会
昭和38年10月29日本庁指導主事,県内出張所指導主
事を対象として研究報告会をもった。
3) 西根中学校における研究授業
ア 第1回研究授業 6月25日
素 材 「関係代名詞」 3年
授業者 結城重雄
研究テーマ パタンプラクテスを1時間の中でどう
位置づけるか
イ 第2回研究授業 11月19日
素 材 「現在進行形」 2年
授業者 高橋多美子
研究テーマ 導入をいかに効果的に行なうか
ウ 第3回研究授業 2月19日
英語科全体研究
授業者 1年 蓬田のぶ子
2年 高橋多美子
3年 結城重雄
研究テーマ 1時間の授業をどう組織化するか
4 プログラムを用いた学習指導法の研究
―複式学級におけるプログラム学習―
(1)目 的
1) 学習指導の効果を高めるため,プログラミングとプ
ログラム学習を研究し,現場における学習指導法の参
考資料を提供する。
2) 複式学級の個別指導の難点を克服するため,プログ
ラム学習を実践し,複式学級の学習効果を高める。
(2)研究の組織
福島市山之内小学校を実験学校とし,福島県教育調査
研究所組織規則第8条により,同校職員を福島県教育委員
会名で研究員に委嘱し,研究所員と共同研究を行なう。
担当は次のとおり。
担当 研究所 実験学校 複式学年 運営・計画 六角新之丞 千葉昇 ― 社会 武田奥一 佐藤昶 5年・6年 理科 野原信夫 目黒穆雄 3年・4年
(3)研究内容
1) 教育課程とプログラム適用教材の研究
2) 複式学級のプログラム学習の運営およびプログラム
を用いた学習形態の研究
3) プログラミング上における問題点の解明
4) プログラム学習の実践
TOY方式,マシン方式,実践上の問題点の解明,
以上のような問題点を解明するために次のような方法
をとって実践した。
ア プログラム学習のオリエンテーション 4月,5月
イ 教育課程,プログラム適用教材の可能性の研究
5月まで
ウ TOY方式によるプログラム学習 5月末より
エ テーチングマシンによる学習 8月末より
オ 一単元の全体プログラムの実践
社会8〜10月,理科9月
カ 研究員作成によるプログラムの実践
(4)検証と結果
1) 比較群の設定
学習効果の測定には主として比較群法を用いるが,
学習指導法以外の他の諸要因を均質にする必要に迫ら
れる。
複式学級という特殊な集団であるため,統制群を等
質なものに求めることは極めて困難である。しかし,
地域や教師,教科書の条件を考慮し,実験群よりはや
や教育条件が有利な統制群を他校に求めて選定した。
両群に事前テスト,知能検査を施し,実験頭初の学力
を測定した。結果は次のとおりである。
ア 社会
統制群の中から,実験群の児童の成就値に対応さ
せ,1対1で抽出し,検証のための実質的な統制群
をとった。したがって,両者の間に平均および標
準偏差に有意差なく,両群は能力の点で同質である
ことが統計的に保証される。
イ 理科
統制群が小集団であるから,社会のように1対1の
対応が人数のうえでつけられないため,無相関検定
やノンパラメトリックのU検定をほどこした。
結果は,標準偏差については3年が5%の有意水準
で実検群がよい。平均では有意水準5%で,3年の
知能,4年の知能と学力がそれぞれ統制群がよく,
すぐれた集団であるといえる。
2) 検証
実施中間期に一単元についての効果測定をし,検定
した結果は次のとおりで,プログラム学習の効率は高
く評価される。