教育年報1963年(S38)-152/180page
理科 10月実施
学年 比較群 平均 標準偏差 有意差 3 実験群 42.9 5.75 平均 統制群 30.4 7.33 有意 4 実験群 43.5 9.21 平均・著しく 統制群 37.5 7.30 有意
社会
学年 比較群 平均 標準偏差 有意差 5 実験群 27.5 7.97 平均 統制群 20.8 7.66 有意 6 実験群 35.8 4.4 平均・標準偏差とも 統制群 28.0 7.8 有意
さらに,学年末においては,相当学年の全領域をテ
ストし,効率の検定をする。
5 学力の学校差の要因の研究
(1)目的・方法
昭和36年度の全国学力調査結果の報告書“学力の要因
としての教育条件”の中で,生活的な要因を統制した上
で学校内の学力差を見る目的で本県において,学校数の
多い商業市街地,農山村,純農村,普通農村の4地域に
おける学校間の得点差を調査した結果,それぞれの地域
に属する学校の最大の得点と最小の得点との差が大き
く,その差も地域類型によって大きさが異なることが示
されている。これは,学校を単位としての学力はいろい
ろの要因の働きかけによるからである。
そこで,このように学校間の学力差をきたすところの
要因を究明し,学力向上の施策の資料を提供するため
に,この研究をとりあげた。
(2)研究の方法
学校を単位としての学力は,個々の生徒の学力を規制
する個人的・生活的・教育的な諸要因の関連の総合的平
均である。したがって,学校間の学力差をきたす要因―
学力と教育的な要因―を明らかにするには条件をできる
だけ統制することが必要である。そこで
1) 生活的な要因を統制するため,調査対象学校とし
て,本県において学校数の多い純農村地域に属する小
学校で,学校規模が12学級,6学級である学校を用いる。
2) 調査対象児童は5年生として,これに全国学力調査
を実施し,さらに,児童ひとりひとりの学力の最大の
要因である知能による学校差を消すために知能検査を
実施する。
3) 知能と学校単位の学力の予測方程式を作成する。
4) 予測値と,実際に学力検査に表われた成績との差に
よって学校を分ける。
5) これを用いて,教師の教育に対する意見,校内研
修,父兄の学校に対する意見などを検討する。
6) この意見調査によって,明らかにされた要因を確か
めることと,調査によって摘出されなかった要因など
をとらえるために事例研究する。
(3)研究経過
1) 学力検査および知能検査
学力検査は,昭和38年6月26日,27日,全国学力調
査理科,社会を純農村地域の12学級,6学級の学校規
模の小学校の5年生に実施する。学校数は99校,児童
数5,474人であった。
知能検査は,京大N×8−12知能検査を用い,昭和
38年9月10日に前記学力検査実施児童に実施した。
2) 教員調査および父兄の学校に対する関心の調査用紙
の作成
ア 学校調査,教員調査
質問紙法によって,学力と教育的な要因を明らかに
するための質問紙―教員調査表―については,予備
調査によって調査項目,内容を選び,国立教育研究
所の指導を受けて最終的な決定をした。
・教職に対する意見 ・職員のふん囲気 ・学習指
導に対する構え ・研修態制と研修意欲 ・学校運営
イ 父兄の学校に対する関心の調査
父兄の,学校に対する関心の調査項目,内容は,昭
和36年に国立教育研究所が実施した父兄の教育に対
する関心調査内容を当研究の目的に合うように加除
修正した。
・家庭における教育的,文化的環境
・学校における学習について
・学校と家庭との連絡について
・PTAに関して
・子どもに対する期待
3) 教員調査・父兄の学校に対する関心の調査実施
教員調査・父兄の学校に対する関心の調査は,昭和
39年3月5日,無記名,厳封報告による方法で実施した。
ア 教員調査
純農村地域で12学級,6学級の学校規模の学校99校
の校長・事務職員を除いた教職員1,059人に対し依
頼実施した。
イ 父兄の学校に対する関心
前記学校の5年生の父兄5,474人を対象として依頼
実施した。
4) 事例研究
質問紙による調査の結果をまってから,事例研究を
実施する計画であったが,国立研究所の指導やその他
の関係で,質問紙による調査と並行して行なうことに
なった。