教育年報1963年(S38)-153/180page
研究方法
(ア)調査班の構成
研究調査には研究所員と事例研究対象校の主管出張
所指導主事があたり,調査班を三班編成し,各班の
構成は研究所員3名,出張所員1名,計4名からな
っている。各班3校ずつ事例研究対象校を訪問し,
研究調査した。
(イ)調査方法
調査は,昭和39年3月6日より3月14日までの間に
行なった。その方法は,授業参観,子どもの学習態
度の調査,教育計画実施状況の調査,教員との懇
談,児童との面接など資料調査,質問紙法,観察法
を併用した。
調査にあたっては,調査項目をできるだけ細かく,
しかも具体的に示し,判断を容易にするよう配慮した。
(4)調査結果
この研究は,質問紙法と事例研究とによって,その目
的の達成を意図しているが,前に述べたように,両調査
が昭和39年3月5日に実施されているので,その結果を
昭和38年度の年報に掲載できるまでにまとめられていな
い。研究の結果は,報告書にまとめ,学力向上の施策の
ための資料として提供するが,とりあえず,さきに実施
した知能検査の結果をのせることにする。
1) 知能偏差値の分布状況
昭和38年9月10日に,純農村地域の12学級,6学級
の学校規模の小学校第5学年生に実施した知能検査の
結果による知能偏差値の個人得点分布は次のとおりで
ある。
純農村地域の知能偏差値の分布(38年9月10日 5年生)
偏差値\ 項目 〜23 24〜 27 28〜 32 33〜 37 38〜 42 43〜 47 48〜 52 53〜 57 58〜 62 63〜 67 68〜 72 73〜 77 78〜 82 83〜 87 88〜 実数 26 334 401 675 970 1034 955 629 312 105 29 4 5,474 相対度数 0.47 6.10 7.33 12.33 17.72 18.89 17.45 11.49 5.70 1.92 0.53 0.07 100.00% 標準度数 0.30 0.92 2.79 6.55 12.10 17.47 19.74 17.47 12.10 6.55 2.79 0.92 0.24 0.05 0.01 100.00% 差 0.17 5.18 4.53 5.78 5.62 1.44 -2.30 -5.98 -6.40 -4.63 -2.26 -0.85 -0.24 -0.05 -0.01
この分布状況から,階級(43〜47)以下の階級では
県の相対度数が全国のそれより多くなっており,(48
〜52)以上の階級では,県の相対度数が少なく,(78
〜82)階級以上はない。12純農村地域の知能分布は低
い方に傾いていて,上位の位置のものが少ない。
2) 平均値,標準偏差,相関係数
昭和36年度の第6学年生について,各学校で実施し
た知能検査による知能偏差値の報告を依頼し,その結
果を地域類型ごとにまとめた資料とを併記する。なお
昭和36年度は,同一の知能検査用紙でなく,また,実
施期日は4年,あるいは5年のときのもあり一定でな
かった。
昭和38年9月
実施(5年生)昭和36年度
(6年生)全国 平均値 43.9 43.8 50 標準偏差 9.98 10.77 10 変異係数 22.7 24.6 20.0
社会,理科の全国学力調査の結果を学力偏差値になお
し,その平均と知能との相関係数は0.68である。
6 診断的性格を帯びた福島県標準学力検査問題
(1)目 的
昭和38年度より3年計画をもって,社会,理科と中学
校の英語の標記の学力検査問題を作成することにし,本
年度は,社会,理科は小学校4・5・6年,英語は中学校
2年をとりあげることにした。
この問題を学年末に実施すれば,年度における指導の
反省,個々の子どもや学級または学校の全県的な位置づ
けができる。また,学年はじめに実施をすれば,レデネ
ステストとして,個々の学力や学級・学校の傾向を診断
して,年度の指導計画作成の基礎資料とすることができる。
(2)問題作成の経過
1) 事前の研究
指導要領の分析と県内のおもな使用教科書の内容調
査によって,学力検査問題の素材をととのえ,ペーパ
ーテストで可能な限りの範囲を対象にして,検査領域
を設定し評価の観点とそれに対応する作間の研究を行
なった。
2) 学力検査問題審議会
ア 第1回審議会
事前研究によってえた案を第1次案として,問題領
域,問題の観点,問題内容について,主として内容
的な妥当性を検討した。
理科部会 10月8日,9日
社会部会 10月11日,12日
英語部会 11月15日
イ 第2回審議会
第1回の審議後に2回の予備テストを経て修正補足
した問題内容を検討し,本調査の問題にした。