教育年報1964年(S39)-167/232page
開発事業等と直接関係のあるものは,国指定のもの9
件,県指定のもの7件であるが,これらの文化財が完
全に保存されるよう,関係地教委の協力を得て具体的
な保存計画をたて推進することになった。
4) 文化財管理状況調査
文化財保護委員会から浜田隆文化財管理指導官をむか
え,会津地方の指定文化財(美術工芸品)のパトロール
を実施し,管理状況の実情調査ならびに管理上の助言指
導を行ない多くの成果をあげた。
〇 期日と実施社寺
10月12日 宗英寺 (会津若松市),法用寺,龍興寺
法瞳寺,伊佐須美神社(会津高田町)
13日 弘安寺(新鶴村),勝常寺(湯川村),
恵隆寺,心清水八幡神社,上宇内薬師堂
光照寺(会津坂下町),
14日 中善寺,願成寺(喜多方市)
(5) 民俗芸能の調査
各地に伝承されている民俗芸能は,時代の進展に伴な
って次第に衰亡している現状であるが,優れた芸能の保
存をはかるため,次のような調査を行なった。
1) 都都古別神社お田植祭
2月7日事務局職員で調査し,写真および録音記録
を作成した。
2) 念仏踊および田植踊調査
ア 期日・場所・調査芸能
2月13日 白河市関辺 天道念仏さんじもさ踊
同 根田 安珍念仏踊
2月14日 二本松市石井 七福神と田植踊
15日 浪江町津島 津島の田植踊,その他
16日 原町市泉 泉の田植踊, その他
イ 調査者
東京国立文化財研究所 文部技官 三隅治雄
(外に事務局職員および宝塚歌劇団芸能研究部員
が参加)
5 文化財の普及・公開・活用
(1) 文化財保護行政研究協議会
市町村教育委員会の文化財保護行政関係者を対象とし
て,文化財保護に関する知識と理解の向上をはかり当面
する諸問題を研究協議するため,第1回の研究協議会を
開催した。
1) 期日・会場・参加者数
ア 期 日 39・6・10〜11
イ 会 場 福島市公民館
ウ 参加者数 75人
2) 講師および演題
ア 「文化財保護法の要点」
文化財保護委員会事務局庶務課長補佐 宮野礼一
イ 「民俗資料の保存と活用」
福島県文化財専門委員 文学博士 岩崎敏夫
ウ 「本県古代文化の特色と埋蔵文化財の取扱い」
福島県教育委員会 社会教育主事 梅宮茂
3) 研究協議
協議題「市町村における文化財の保存,活用をはかる
にはどうすればよいか」
研究協議は,喜多方市教委社会教育主事佐藤正,田
島町教委社会教育主事室井康弘が司会者となってすす
められた。
4) 現地指導
福島市児童館(民俗資料,考古資料)
大蔵寺(重要文化財修理状況)
5) 成 果
文化財保護行政は市町村における固有の事務である
が,内容が専門的であるためその進展は遅々として進
まない状況であったが,はじめて開催したこの研究協
議会に対する市町村の関心が意外に高く,さらに内容
的なものへの研究意欲がみられ,非常に効果的な催し
であった。
6) 作成した資料
福島県文化財事務提案(文化財保護関係法令,市町
村文化財保護行政関係資料)
(2)第14同県民俗芸能大会
県教育委員会・喜多方市,同教育委員会,福島民友新
聞社の共催により,主として会津地方に伝承されている
民俗芸能の一般公開と,その記録調査をかねて開催し
た。
〇 期日 39・11・8
〇 場所 喜多方市厚生会館
〇 上演芸能は次のとおり
・ 会津万才 喜多方市 喜多方民謡会
・ 白沢の七福神 白沢村 白沢七福神保存会
・ 高野の獅子舞 田島町 高野獅子保存会
・ 館の早乙女踊り 湖南村 館早乙女保存会
・ 会津念仏踊り 喜多方市 会津念仏摂取講
・ 三島神社の大々神楽 喜多方市 三島神社
・ 下三宮の神楽長獅子 喜多方市 秀太夫一座有志
・ 野沢の祭ばやし 西会津町 野沢青年会
(他にアトラクションとして「祝言口上」を上演)
〇 観覧者 約1,000人
(3) 第6回ブロック民俗芸能大会
9月13日青森県弘前市民会館において,北海道・東北
各県教育委員会の主催によるブロック民俗芸能大会が開
催され,本県から小川町高崎じゃんがら念仏踊保存会が
出演し,幽玄な"じゃんがら念仏踊"を公開した。