高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-007/82page

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校の教育目標は,概して,抽象的であり,スローガンとして,意気を高めるのには役立つかもしれないが,目標達成の具体的な方法を確立し,到達度を確かめることは,きわめて困難である。

目標は,できるかぎり,具体化されるべきであり,具体的な目標は,達成の方法や,評価を容易にし,客観的に効果をは握できる。自主性や個性を尊重するという目標は,自学自習の習慣を身につけるとか,自己の意見を明確に発表するなどと具体化できるであろう。学校によっては,目標の次に,努力事項を設け,目標の具体化を図っている。

学校教育法に示された高等学校教育の目標は,法として,国全体の教育の方向水準を示す意味で,抽象的であるのはやむを得ないとしても,学習指導要領がねらいとする,生徒の能力・適性・進路や,地域の実態に応じた弾力的な教育課程を編成するならば,各学校の目標の中に,それぞれの高等学校が所在する地域の地方性に応じた特色が,示されるべきであろう。

(2) 能力・適性・進路に応じた編成

生徒の能力・適性・進路に応じて弾力的に教育課程を編成するよう各学校で努力しているけれども,普通科における一般的傾向としては,生徒の能力・適性・進路に対する認識を深め,また,できるだけ客観的に生徒の学力をは握し,適切な教育課程を編成するというよりは,単に生徒の希望を重視して大学受験準備の学習を用意する学校が多い。

これは,大学合格老数で,学校間に格差をつける悪弊があり,生徒の能力・適性・進路よりも,教師の間にある大学受験指導に対するコンプレックスが先行するためである。

生徒の希望を尊重することは,民主的な教育をするうえで大切であるが,「勉強はしたくないが,大学には進学したい。」という生徒が数多く存在する現実を認識し,教師としての正しい指導理念にしたがって,教育課程を編成すべきである。

2年次,3年次に類型(コース)を設ける学校もそのねらいは,大学受験を目指す生徒の便宜を図ることであり,就職コースを設ける場合も,大学進学者を主としたコースをまず作り,残りの生徒を就職コースにまわすのが通例である。

このために,一部少数の大学進学希望者の存在が他の多くの生徒たちに迷惑を及ぼしている場合も多い。特に,数学や英語の学習においては,学力差が大きいにもかかわらず,画一的に,高度な内容の科目を履修させられていり状況は,依然として,改善されていない。

生徒の能力・適性・進路に応じた教育課程編成が困難な第二の理由は,生徒の能力・適性のは握ができないことである。生徒にかぎらず,人間の能力・適性を正確に知ることは困難だが,能力を開発し,適性に合った生き方をするために,さまざまな調査研究がなされている。しかし,本県の高等学校において,生徒の能力・適性を知るために,組織的に,調査研究が行われている例は,きわめて少ない。

これは,次の第三の理由とともに,これからの高等学校教育において,探求し,解決しなければならない問題であろう。

第三の理由は,学力不振生徒の指導について,高校教師が具体的な対応策をもっていないことである。入学者選抜学力検査の結果によって,入学時における生徒の学力水準は一応わかるが,その学力に応じた指導について十分な配慮がなされず,教科書を基準にして授業を始めるのが普通である。

学力がないのは,生徒の勉強不足のせいであり,中学校の責任であるとして,生徒理解の第一歩において誤りを犯すケースが,後を絶たない。

次に,本県普通科高校生の進路は,昭和50年4月の調査で,大学進学36.6%,各種学校進学10.4%,次年度進学希望(浪人)155%であり,昭和50年11月の希望調査では,大学希望55.9%,各種学校希望10.6%である。

実数では,37.5%(各種学校を含めれば,47.9


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