高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-008/82page

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%),希望者数では,33.5%(各種学校を含めれば,44.1%)が就職するものと考えられるが,これらの4割をこえる生徒たちに与えるべき適切な職業教育については,今後の改善にまつところが多い。

(3) 選択科目の設定

教育課程の弾力化を図るために,多くの選択科目を設定することは,効果的であるが,すでに述べたように,本県においては,普通科58校中11校に設けられているだけで,その単位数も,3年次において,週当たり34時間中10時間をこえるのは,わずかに3校である。

類型を設定して,生徒の多様化に応じているけれど(58校中34校),さらに,選択科目まで設けることは,現在の施設設備や教員組織では困難である。

教育諸条件の制約は,行政面からの施策がなければ改善されないが,教育課程の編成,指導計画作成の中で,できるかぎり,選択科目数,単位数を増加していくのが,今後の課題であろう。

(4) 単位制

各教科・科目の標準単位数は,履修することがたてまえであって,履修することと修得することは区別されている。これは,多様な生徒の能力に応じて,弾力的に指導することの可能性を示すものであり,卒業に必要な条件も,85単位の修得とされているのは,このゆえであろう。

しかし,各学校では,教育課程に示された単位計画表にしたがって履修した,すべての単位を履修することを,卒業の条件としているのか現状であり,事務処理の繁雑さとか,生徒指導上の問題などから,弾力的な連用を図られていない。

単位の修得の条件として,各教科・科目を履修し,その成果が,教科・科目の目標からみて満足できると認められる場合とされているが,各教科・科目において,単位認定に当たって,目標からみて満足できる成果とは何かについて,具体的な共通の認識があるのかどうかうたがわしい。

ペーパーテストによって,30点あるいは35点未満を,単位修得の下限とする内規を定めている学校が多いが,ぺーパーテストそのものに,評価の面からみて,多くの問題があるにもかかわらず,機械的にペーパーテストの得点と,出席時数で,単位の修得を認定している場合か多い。

単位の蔭定は,1箇学年の中でなされるべきであるのに,単位未修得の場合に,次の学年にもちこし,再試験を課するのも,本来の趣旨を逸脱しているというべきであろう。

高等学校の教育内容について,各方面で論議がなされているが,多様な能力・適性をもつ生徒の指導が困難なことは認めるとしても,公教育り一環として,一定の水準を維持することは必要であり,単位修修得の認定は,この点から再検討されるべきである。

(5) 進級,卒業の認定

本県では,現在,単位の認定について,履修科目はすべて修得することを原則とし,学年制をとっているために,各学年ごとに,修得した科目の単位をすべて修得できない場合に,進級させるか,あるいは原級留置とするかが問題となる。

内規によって,原級留置とする条件として,単位未修得の科目数や単位数を定めているが,仮に進級した場合には,未修得科目について,単にテストをくり返すだけで追加認定することになり,また,原級留置とした場合には,すでに修得した科目を再履修する不合理が生ずる。

本来,学年制と単位制には,両立しない要素があり,進級や卒業の認定が,事務的処理を簡略化するために,安易に行われるならば,高等学校教育は,その内容を失い,形骸化してしまうであろう。

進級や卒業に当たって,履修時数や,在学年数が,おもな条件となり,学習内容の定着,すなわち,学力の判定があいまいになっては,教育課程を弾力的に編成するという真意が,生かされていないことに


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