高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-009/82page

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なる。

(6) 各教科以外の教育活動

ホームルーム及びクラブ活動は,すべての学校で,週当り1単位時間を計画し,実施している。生徒会活動及び学校行事は,学習指導要領の記述が具体性を欠くために,学校ごとに,計画時数,実施時数が異なるが,学校の特色を出すうえで,工夫が必要とされるところである。

ホームルームとクラブ活動の内容は,比較的明確なために,実施に当たって研究も円滑に進められているが,生徒会活動と学校行事は,その内容が,必ずしも明確に区分することはできないために,計画実施に当たって,学校によって差異が生ずる。

クラブ活動の趣旨を生かし,その内容を充実するためには,同一時間に,ホームルームや学年をこえて,全校いっせいに実施しなければならないが,現在の施設設備では不十分であることが,すべての学校における問題点となっている。

物的条件だけでなく,人的条件,すなわち指導者の確保という点でも多くの問題があるようである。

(7) 部活動

放課後に実施されるさまざまな部活動の位置づけが,学習指導要領では明確でない。週1時間のクラブ活動と部活動を分離しないで実施する場合もあるが,本県では,クラブ活動と部活動を区別して実施している学校が多い。

いずれにしても,週当たり標準34時間とする教育課程には,クラブ活動1時間が位置づけられるだけで,部活動ははいらない。

部活動が教育課程に基づかなくとも,学校の内外を問わず,教師の指導のもとに,校長の承認を得て実施される教育活動であるから,勤務時間内に実施されるかぎり,責任の所在など明らかであろう。しかし,教師の勤務時間をこえた部活動については,各学校とも,その対策に苦慮しているところであり,この取り扱い方いかんによって、各教科以外の教育活動全般の実施が,大きく左右されるおそれかある。

特に,スポーツ関係の指導にたずさわる教師の士気におよぼす影響は大きく,管理者の態度いかんによってはスポーツの振興に障害となることも考えられる。

3 改善の視点 

19,20ページ図表参照 その1(内容の構成)

教育課程編成の現状と実施上の諸問題の考察のうえに,今後の高等学校教育改善の視点を探り,魅力ある高等学校(普通科)の教育課程編成に役立てたい。

(1) 教育内容

高校進学率が上昇するにつれて,生徒の能力・適性・進路が多様化し,指導の困難が指摘され問題ととなっている。これは,従来の高等学校教育の内容水準を維持し,指導の方法を改善するだけでは解決できない問題であり,高等学校教育を,内容的にも制度的にも検討しなおす時期がきていることを認識する必要がある。

1) 高等学校教育の理念

高等学校教育は,中等教育の一環として中学校教育を前期とし,後期中等教育と称するのが一般的である。世界的にみても,13歳から18歳までの青少年に与えられる教育は,セコンダリーエジュケーションといわれており,高等教育は,大学教育とみなすのが妥当である。

普通科高校が,高等普通教育をほどこす場として認識されるとき,高等学校発足当時は「高等」を重視し,旧制高等学校の再現を目指した心情は理解できるが,高度経済成長が可能にした教育拡充と,高学歴社会を志向する日本人の体質によって,エリートの教育機関としての,高等学校の存在理由は消滅したのである。

高等学校の現状からみれば,ほとんどすべての


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