高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-012/82page

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できるかぎり高度の内容を材料としている場合が多い。

普通教育においては,生がいにわたって転移応用のできる,基礎学力の修得を目標とするならば,各教科とも,中学校の学習の成果を客観的に評価し,そのうえで,分化精選した内容を,整然とした順序性のもとに,高等学校教材として確立すべきである。

各教科によって,基礎学力の概念が異なっても,大学入試問題を基準として,高等学校の学者内容を定めることは,慎しむべきことである。一方において,生徒の実態に応ずるという名目のもとに,安易な卒業の認定によって,高等学校教育の内容が一定の水準を保ち得ないとすれば,公教育として望ましい姿とはいえないであろう。

各教科の基礎的内容について,必ずしも,学者や教育者の間に,コンセンサスが得られていないが,高等学校教育にたずさわるものの立場からみれば,中学校における学習内容の定着の度合を正しくは握し,その学力に応じて,効果的に高等学校の内容を積み上げることが重要であることは,すでに述べた通りである。

高校教師は,それぞれ専門教科について,学習の初歩からの順序性をマスターしなければ,中学校の学者のうえに,効果的に積み上げることのできる内容として,どんなものが適切であるのか判断できないであろう。

各教科・科目の内容には,専門的知識の学習,すなわち,座学による学習だけでなく,社会に出てからの学習に役立つ体験的学習を含める必要がある。

教科学習が,系統的な知識構造の修得に重点をおくのは,大学入試がその大きな動機づけになっているためであろう。

しかし,大学進学率が,30%をこえ,大学卒業生が,従前ほどに有利な社会的地位を得ることが困難になり,さらに,高等学校教育か国民教育といわれる現在では,大学入試にふり回されてきた高校普通科教育に,生活単元学習発想を取り入れ,各教科において,人生とのかかわりあいを,生きるうえでの直接の,あるいはまた,間接の意義を強調すべきであり,そこに,体験学習を通して職業観,勤労観が育成されるのである。

言語学習では,国語,外国語を問わず,人間生活における最も重要なコミュニケーションの手段として,正しい利用のしかたを,徹底的に教えるべきであり,基礎的学習を深めることを怠り,教養的文学鑑賞などにのみ多くの時間を費やすのは望ましいことではない。

社会科学の学習は,中学校で学習した分野の中から,1科目程度を,生徒の将来の進路などを考慮して選択学習させるが,暗記科目という誤解を一掃し,ものの見方や考え方を身につけさせる指導が大切である。

数学,理科の内容は,特に厳選されるべきである。さらに,現在のように,各科目をすべて修得させるような指導は改善し,進路に応じた適切な選択が行われるよう努力しなければならない。

知識偏重と非難されることの多い高等学校教育において,体育,芸術を必修教科とする意義は大きい。しかし,これらの教科内容が他の教科の内容と異なるものを多くもっているため,学校の教育目標として,体力増強,情操の陶冶をあげながら,全教員の理解や協力が得られないことがあるのはざんねんである。

職業に関する総合教科は,人間生活の現実を取り上げ学習するのがねらいであり,家庭や地域社会に対する理解を中心にして,他の教科・科目で学習した内容を有効に生かしながら,実践,体験を土台として,各職業について学習し,進路について明確な意識をもつよう指導することを目的とする。

4) 単位制と選択制

学習心理学者がいうように,学習の進度は,個


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