高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-017/82page

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できる職業を選択するよう指導しなければならない。

進学指導と就職指導が,異質なものとして,それぞれの専門家が存在し,係としての分担も別個に組織されている場合が多いけれども,進路指導の本質は,高等学校教育の根底にかかわるものであるという意識を強くする必要がある。

(3) 評価

高等学校において,評価のもつ意味を検討する必要が高まったのは最近のことである。高等学校で評価が話題になるとき,ほとんどすべての場合に,テストの得点を想起し,成績順位や合否,及第等について語るのが常識であり,したがって,生徒の学習の目標は,テストで高得点をあげることであり,年に数回実施される定期考査の直前に,いわゆるガリ勉をすることなのである。

これは,単なる暗記力のコンクールにすぎず,思考力,判断力,総合力のような真の学力の裏づけとなる基礎的な資質を育成することにはならない。

1) 評価の意義

評価は,授業のストラトジーの一つとみなすのが,最近の教育工学的発想から考えても妥当のようである。

もちろん,定期的に実施されるテストの結果も評価ではあるが,ここで得られる評価によって,知識・技能の修得において生徒の到達した水準を知ることはできるが,生徒がそこに到達するまでの,さまざまな学習の様態については,情報が得られない。

このような,総括的(sumative)評価は教育活動の全般的傾向として,適・不適を示し,今後の授業のあり方について反省の資料を与えてくれるが,個別的に生徒の学習状況をは握するのには十分とはいえない。

評価は日常的に継続されるものでなければならない。毎日の授業の反省を,有効に実施するためのフィードバックが,その主たる機能となるべきであり,形成的(formative)評価こそ,今後の高等学校教育の改善に役立つであろう。

教育内容が改善され,生徒の実態に応じた教育課程か編成されても,実施に当たって,たえず,目標へのせまり方についてチェックが行われなければ,効果はあがらない。日々の授業において,生徒も,教師も,自己評価を反復して,ひとりひとりの生徒が,自己に適した方法を発見しながら,学習を続けることが望ましい。

2) 評価の方法

単位の認定に当たって,定期的なテストの結果と,出席時数を,その判定のおもな資料とする現状を反省し,出席時数は,客観的な判定の資料ではあるが,個別化が重視される今日の教育において,学習の成果を,その学者に費やした時間の長短によって判断するのは,適切でないことを認識すべきである。

各教科・科目の目標を達成することを,単位修得の基本条件とし,履修時数については,柔軟に取り扱うのが望ましいことはすでに述べた。

目標到達の度合いをは握する方法が,評価のポイントになるが,評価の本質である客観性,妥当性を保ち,主観的判断を排除するには,達成されるべき目標そのものが具体的でなくては,評価は困難となる。

目標が具体化することによって,指導方法も評価の基準も明確になり,学習の状況が容易にチェックでき,フィードバックの即時性を十分に活用して,授業の効率をあげることができる。

総括的評価が,評価の主流を占めるのは,一定の期間をおいたペーパーテストの結果か,具体的な数字で示され,一見客観的であるかのように思われるからである。しかし,生徒の側からみれば,テストの準備が学習であり,また,学習とは暗記することであったりして,各教科・科目や各教科以外の教育活動の目標を達成する努力は意識にな


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