高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-019/82page
って,生徒の現実を自己の現実として受けとめることである。生徒を待つのではなく,時間の許すかぎり生徒とともにあり,生徒の生活について認識を深め,共通の話題を見出して,語り合うことである。
教師が自己を語るとき,理解できるのは,教師と同じ水準の能力をもった少数の生徒たちであり,大部分の生徒は,教師の懐古談を,教師の自己満足の表現とみているかもしれない。
自己表現のできない生徒との対話は,長時間にわたる苦しい忍耐の後に,ようやく始まるのである。
(4) むすび
以上,高等学校(全日制普通科)の教育課程について,本県の現状から問題点をさぐり,改善の視点を考察した。各教科・科目の具体的な内容は,それぞれの教科の研究にまつところが多い。
人間社会の進歩発展の原動力は,移動することにあり,移動が変化をひき起すといわれているが,人も物もめったに移動しない小さな地域社会で,せめて学校教育ぐらいは変化に対して寛容でありたいと念願するしだいである。
高校教育改善の視点
その1 内容の編成
高校進学率の上昇
↓
生徒の能力適正の多様化
↓
高校教育内容の検討
↓
・ エリートの教育機関でなくなる。
・ 国民教育,生がい教育として考えられてくる。
・ 小・中学校教育の経験の基礎に立つ教育
・ 大学進学を前提として高校教育を考えない。
1 教科・科目の構成 ゆとりとバランスのある
教科・科目の編成生活に必要な学科に集約 国語,美術,体育,職業に関する教科の設定 高度な学習の選択 社会,数学,理科,外国語は,生徒の能力に応じて高度化する。 科目の履修の段階制 各科目に,1,2,3の履修に段階制をもたせる。 能力のある生徒 2か年の修了 3年目は,進路に応じた教育 能力の劣る生徒 時間をかけて指導3年〜4年 2 単位制・選択制 学年制の弾力化をはかる。 個人差の考慮 単位修得に必要な時間の確保 単位修得時間 単位修得の基準時間の修正
体験や実習の時間の設定進級・卒業に必要な単位 テスト,不合格のときは再履修 学年制の弾力性 類型のコース設定
選択科目の時間にゆとりをもつ