高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-021/82page

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1 高校における国語科教育の理念

"高校の国語科の本質は何か"ということについでは,さまざまな角度から論ぜられているところであるが,ここでは現行制度を原点として,タテのつながりとしての制度史上の変遷,ヨコのひろがりとしての社会的な視野という面からこの問題を考えてみたい。

(1) 現行制度の視点

1) 学校教育法にみる国語科の理念

「高校の教育は小学校,中学校の教育を基礎として,高等普通教育および専門教育をおこなう」というのが,戦後,高校教育発足の理念であった。

このことは,現在も同様であって,その意味では「学校教育法」における小学校教育の目標(第18条)の国語科に関する条項は,そのまま高校の国語科につながるものと考えてよいであろう。

すなわち,

1 学校内外の社会生活の経験に基き,人間相互の関係について正しい理解と協同,自主及び自律の精神を養うこと。

4 日常生活に必要な国語を,正しく理解し,使用する能力を養うこと。

8 生活を明るく豊かにする音楽,美術,文芸等について,基礎的な理解と技能を養うこと。の三つを,国語科に関連すると思われる目標の上に高校国語科のおおよそをとらえてみれば,次のように考えられる。

「日常生活に必要な国語を正しく理解し使用する能力および文学の理解力,鑑賞力を養い,社会事象に対する判断力,批判力をつけ,自主的・自律的精神力の涵養と個性の確立につとめ国家社会の有為な成員として必要な資質を養う。」

2) 学習指導要領にみる国語科の理念

学習指導要領が,学校教育法をうけたものである以上,前記の国語科に関連する条項が土台となることは当然である。

総括目標として「生活に必要な国語の能力を高め,国語を尊重する態度を育てる。」とあるのは,まさしく学校教育法十八条の四に基づくものである。

これをさらに具体化して

1 国語によって的確に理解し表現する能力と態度を養う。

2 国語による理解と表現を通して,思考力・批判力を伸ばし,心情を豊かにする。

3 国語による伝達を効果的にして社会生活を高める能力を伸ばし,態度を養う。

4 言語文化を享受し創造するための基礎的な能力を伸ばし態度を養う。

5 国語に対する認識を深め,言語感覚を豊かにし,国語を愛護してその向上を図る態度を養う。

と述べている。

さらに,これが各科目にどのように具現されているかをみると次の通りである。

現代国語

1 国語による理解と表現の能力を高め,思考力・批判力を伸ばし,心情を豊かにする。

2 目的や場に応じて的確に聞いたり話したりする能力と態度を身につけさせる。

3 文章を的確に読みとり,深く読み味わう能力を高め,読書の態度と習慣を身につけさせる。

4 目的に応じて文章を的確に書く能力と態度を身につけさせる。

5 国語に対する認識を深め,言語感覚を豊かにし,国語を愛護しその向上を図る態度を養う。

古典1甲

1 古典の意義を理解し,古典に親しむ態度を養う。


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