高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-055/82page
入学者選抜学力検査成績からみたA高校生徒の英語学力の実態 (50点満点)
県平均 A高校平均 47年 28.8点 19.9点 48年 33.9点 25.2点 49年 36.9点 27.6点
各教科ごとの県平均点との差
国語 社会 数学 理科 英語 47年 -4.6 -3.7 -7.9 -4.1 -8.9 48年 -5.5 -4.3 -8.1 -2.6 -8.7 49年 -6.8 -5.7 -9.2 -3.8 -9.3
各教科とも県平均を下回っているが,特に数学英語においてその差は著しい。
この生徒たちが,英語学習にどんな考えをもっているかを調査した結果は次の通りである。(調査人員905名,数字は%)
1) 英語はすきかきらいか。
ア 好き 10.3
イ きらい 50.2
ウ どちらでもない 39.5
2) きらいになった時期はいつか。
ア 中学1年 (50.2)
イ 中学2年2学期まで (81.0)
3) きらいになった理由はなにか。
ア むずかしすぎる 42.7
イ 必要性がない 5.8
ウ 発音が苦手である 6.8
エ 内容がおもしろくない 6.4
オ 先生がきらい 20.3
カ その他 18.0
4) 卒業後の生活で英語は必要か。
ア たいへん必要である 10.6
イ 少し必要である 53.7
ウ 必要なし 6.3
エ わからない 29.4
5) これからの日常生活で英語は必要になるか。
ア 大いに必要になる 36.4
イ 少し必要になる 41.9
ウ 必要でない 3.3
エ わからない 18.4
6) 英語の学習に何を期待するか。
ア 英語の演説や会話がわかる 11.7
イ 英語で演説や会話ができる 30.3
ウ 英語の小説や新聞が読める 15.3
エ 英語で手紙や思ったことが書ける 29.2
オ 特に英語ができなくてもよい 9.2
カ その他 4.1
7) 英語の授業になにを望むか。
ア もっとゆっくりくわしく 53.0
イ 音声・会話をもっと多く 17.9
ウ もっとはやく 4.3
エ 冗談余談をもっと多く 21.3
オ もっときびしく 3.5
A高校生の半数は英語がきらいであり,きらいになった時期は中学校の前半に集中している。
英語学習に興味を失い,きらいになった理由として「むずかしすぎる」に続いて「先生がきらい」が20.3%を占めるのは,入門期の指導において教師の人間性が大きな影響をもつことを示している。
半数の生徒が英語をきらっているにもかかわらず,卒業後の一般社会での生活における英語の必要性は十分に認識している。(4),5))
6)および7)の結果は,生徒のspeakingやhearingに対する要望にこたえる授業が行われず,教師サイドの訳読による一方的な授業が多いことを示している。「もっとゆっくりくわしく」授業を進めてほしいという生徒の願い( 7)ア 53.0%)を実現することは容易なことである。
生徒の意識を正しく受けとめ,授業に工夫を加えるならば,少くとも生徒が英語をきらいになることは避けられるであろう。