高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-056/82page

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英語の必要性,重要性を認め,英語で自己を表現したいという生徒たちの意欲は,外国語学習のモチベーションとして妥当なものであり,授業の目標はこのような生徒の心情を理解したうえで,学力の実態に応じて定められるべきである。

3 英語教育の改善

(1) 基礎学力の充実

能力・適性・進路の多様な,そのうえ,英語の学力差が他のどの教科の場合よりも大きい高校生に,生がいにわたって役立っであろう基礎的な英語の学力を育成するためには,高等学校英語の学習内容に明確な順序性と構造化が必要とされるであろう。

英語学習は,中学校の3年間にその基礎学力をマスターすることが望ましい目標であるが,現実には中学校英語の学習が不完全なままで高等学校に入学する生徒が大部分である。

この反省にたって,現行中学校学習指導要領の中で*印を付したやや程度が高い内容は,高等学校の内容に移行することになっている。しかし,このような措置によってすべての中学生がその学習内容を修得して高等学校に入学してくることにはならない。

一方において,中学校英語はすでにマスターし,高校からさらに大学へと,高度な内容を学習できるだけの十分な学力を身につけた生徒も高等学校に入学してくる。

学力において,さらに学習意欲のうえで著しい差のある生徒たちに,できる限り適応した学習内容を提供し,充実した高校生活を送らせるためには,高校英語の基礎学力として中学校英語の修得を基本として,現行高等学校学習指導要領「英語A」り中から*印および**印のついた言語材料を除いた内容9単位分の内容のうち3単位分)を修得させることとする。

基礎学力のうえに,さらに進んだ学習を続ける能力と意欲のある生徒には,選択制度によってその能力,資質をのばすことのできる道を用意し,高校卒業後の進路の選択にあたって満足できるだけの準備ができるよう配慮する。

高校英語の基礎学力の育成には慎重な指導計画の作成と,実施に当たっての絶えざる授業研究によって授業の改善充実を図ることが必要である。

特に,学力の評価については安易な単位修得の認定を行わず,4技能の習熟の度合いを正しくは握し,高等学校における英語学習の成果が客観的に認識されるよう努力すべきである。

(2) 言語活動の育成

生徒たちが学校卒業と同時に英語学習の苦痛からの開放感に浸り,学習したすべてを忘れてしまったり,あるいは大学受験準備のために身につけた学力も,入学後の専門的研究の中に生かされることが少ないのは,従来の高等学校における英語教育が主として外的動機づけ(extrinsic motivation)を指導の理念とし内的動機づけ(intrinsic motivation)を活用する姿勢に欠けていたことに起因している。

科学技術の進歩に伴なう社会開発が進む中で青少年の意識も変化し,英語学習の意義や重要性についての生徒の考えも変化していることはすでに述べた通りである。

生徒の英語を用いて自己表現したいという意欲を理解し,その実現を可能にするような授業を計画実践することによって,英語学習の内的動機づけを図ることか肝要であり,社会の要請にもこたえることになるであろう。

単なる記号の並べかえを反復する暗号解読式英文和訳や和文英訳が英語の授業であっては,変化の早い社会状勢の中にその変化と素早い反応を示す青年たちに興味を持続させることは困難である。

英語が意味のあることばとして自己の意志を表現すると同時に,他者の意志を理解するため


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