高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-062/82page

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2) 単位の認定

高等学校における英語履修者の最低修得単位数は,「英語1」5単位とする。

本県の普通科高校の英語履修の状況をみると生徒の学力がきわめて多様であるにもかかわらず,ほとんどすべての学校において,英語A,英語Bのいずれかを卒業までに10単位以上履修させ修得させている。

しかし,普通科の生徒とはいえ,すべての生徒に10単位以上の英語学習か必要であるかどうかは疑問である。さらに,学年制をとるために各学年における学習内容を十分に理解できず,消化不良のままで高学年へと進み,ますます学習を困難にしている。

これは,単位修得の認定が容易に行われ,学力の基準としてはペーパーテストの得点が30%台に達し,出席時数が規定を満たしていれば,単位の修得が認定されるという一般的な傾向のためなのである。

評価は,ペーパーテストだけでなく,平素の学習の状況や態度などを総合して行うべきであるが,30%台の得点で合格とすることは妥当でない。50%以上の目標到達度をもって,単位修得認定の基準とすべきである。もちろん,問題の質によっても大きな差異が生ずるけれども,単位の質,高校英語の水準を維持するうえでもまた,「英語1」修得後の「英語2,3」の学習指導を効果的にするためにも,「英語1」の単位修得認定は客観性,妥当性を失わないよう配慮しなけれはならない。

「英語1」の修得が第1年次で達成できない場合は,継続して第2年次でも「英語1」を履修することになる。

逆に,「英語1」の内容を週5時間.年間150時間のうち半分の75時間程度で修得できる学力をもつ生徒には,年度中途であっても「英語1」の科目合格を認定し,「英語2」の受講を認める配慮もまた必要である。

外国語学習の最適時期については意見の分れるところであろうが,中学校3カ年の学習が将来の高度な学習に決定的な意味をもつことは明らかである。ざんねんながら中学校の英語教育の現状では,下位の生徒がネグレクトされるのと同じ程度に,上位の生徒が伸び悩んでいることを否定できない。

学習の進度に個人差があることは明白な事実なのであるから,生徒ひとりひとりが自分のペースにあわせて学習できるよう,できるかぎり配慮するのが,高校英語教育の望ましい姿であろう。

「英語1」を年度中途で科目合格し,後半において「英語2」を履修した生徒の修得単位数は,「英語1,2」5単位とし,卒業に必要な選択科目の単位数に計算する。科目としては「英語1」「英語2」の2科目を履修した場合も,修得単位数は50分の1単位時間x30週を基準として記録する。

外国語の授業では,1単位時間の長さを短くした方がよいという考え方があるが,特に入門期の段階では30分程度の授業を毎日くり返し実施するのが効果的だといわれている。中学校の学習がほとんど定着していない生徒の指導にあたっては,高校においてもこのような方法を考慮する価値はあるかもしれない。しかし,他の教科・科目の授業が50分単位で実施される中で,英語の授業を25〜30分単位に2回実施するのは技術的に困難が多いであろう。

英語の単位修得のパターンを次に示す。

パターン 第1年次 第2年次 第3年次 卒業時の
単位数
A1 英語1 (5)     (5)
A2 英語1 (5) 英語2 (5)
英語会話1 (2)
  (12)
A3 英語1 (5) 英語2 (5)
英語会話1 (2)
英語3 (5)
英語会話2 (2)
(19)

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