高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-063/82page

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(6) 指導方法の改善

英語教育の改善について,各方面から多くの意見がよせられているが,本県の現状からみると,中学校においてはさまざまな研究が展開され,訳読中心の旧来の方法はほとんど姿を消したといってよいであろう。改正学習指導要領に示された「言語活動」についての認識も深まり,多くの困難を伴いながらも着実な研究が熱意ある教師たちによって行われている。それに比べて,高等学校の英語教育の改善は遅々として進まないといえるであろう。

高等学校では英語のみならず,すべての教科・科目において指導法の研究改善の必要性が強調されている。着実な研究成果も一部には発表されているが,専門性を強調するあまり,生徒にとって魅力のない単調な講義のくり返しで授業が終始したのでは,これからの高校教師としての専門性に疑問があろう。

1) Listening Comprehension

外国語学習の入門期には正しい発音による指導が最も大切であることを否定する教師はいない。また,この時期においては生徒の学習意欲もおうせいで,教室も活気にあふれていることも否定できない。

音声による指導から,文学の指導へと移行する段階で多くの脱落者が出ることは,中学校生徒の英語指導に当たる教師の多くが証明している。

高校入学にあたって,このような学習を開始したころの状況を再現すべきであろう。2,(2)「生徒の実態」で述べた調査の中に多くの英語ぎらいの生徒が,高校入学時にふたたび英語修得に意欲をもやし,そしてざ折していく状況がみられる。

聞いてわかること(Listening Compre-hension)が,外国語学習の第一歩でありこのうえにCommunicationが成立するのである。

英語教師の犯しやすい誤りは,すべてを文字によって確認しなければ落着けないという心情である。

正しい英語を,教師自身のutteranceで,あるいはnative speakerの録音教材で,たえず生徒に与えること,stress,rhythm,intonationなどが文字を通しての知識ではなく,soundを通してfeelingとしてとらえることができるようなふん囲気を作りだすことが大切である。

英語について語るのではなく,英語そのものを語らなければならない。英語教師は,英語に関する知識は豊富にもっているが,英語そのもので語るべき内容に乏しいといわれるが,これが生徒たちを英語学習から引きはなす原因の一つになっている。

説明する前に,あるいは練習する前に正しい英語を聞かせ,生徒の耳に何が残るか,どんなsoundがcatchされたかを確認することが,次のstepに進むための手がかりとなる。いわゆるacoustic imageのcheckが,次の指導の効果を左右する要因の一つなのである。

聞いてわからないことに対して,どんな反応を期待できるであろうか。聞いてはわからないが文字をみればわかるという英語教育に対する批判に謙虚に耳を傾け,指導法を改善しなければならない。

高度な知的内容をもつ英語の場合は,聞いてわかることと,読んでわかることは一致せず,また,話すことと,書くことも別個の作業となるが,高等学校程度の基礎学力の養成に当たっては,聞いてわかることはとりもなおさず読んでわかることであり,話せることは書くことに通ずると考えてよいであろう。

Listening Comprehensionの育成充実は,このようにReading abilityの向


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