高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-064/82page
上につながるものであり,さらに高度な読解力の基礎作りとなる。
Listeningの練習を通して,Content wordsとFunction wordsがunerstandingの過程でもっている意味あいを十分に認識することが大切である。
Content wordsもFunction wordsも同じ程度の力点をおき,場合によってはFunction words(特に前置詞など)を特に強調して教えるというようなreadingの指導は,入門期,基礎学力養成の段階では有意義とは思えない。
2) 自己表現
Listening Comprehensionとともに,による自己表現の訓練を重視しなければならない。口頭による(話す)場合,あるいは文字による(書く)場合があるが,口頭による表現が書くことに先行するのは基礎的な語学学習では当然のことである。
自己表現は外国語教育のみでなく,国語教育においても重視されるべき目標であり,知的成熟の一つのまとまりとして,その開発育成にあたるべきである。
1単位時間の指導過程の中で,生徒に自己表現(発表)させる時間をどこに,どのように設定するか,また,その評価をどうするかなど,困難な問題があるために,従来等閑視されてきたこの分野の指導方法について研究を深めるのがこれからの課題であろう。
文字を通してのreadingという受動的な学習を中心とする外国語教育は,これからの青少年の興味関心をひきつけるだけの魅力に欠け,また,言語学習のもつCommunicationの手段を修得するという目的からみても適切ではない。
聞く,話す,読む,書くという4技能をむらなく伸ばしていくことは,理想として望ましいことではあるが,学校教育というかぎられた条件のもとにおかれた英語教育にすべてを期待するのはむりだとするならば,「英語1」においてはhearing speakingに重点をおき,基本文型の連用能力の定着を図ることを目標とし,「英語2,3」においてreading writing訓練を重視し,「英語会話」を併修させるのが望ましいであろう。
3) 学習意欲 (動機づけ)
学校での英語学習を通して,生徒たちに完全に英語をマスターさせることは困難なことである。しかし,学校卒業後の職業生活を通して,英語学習への興味をもち続ける動機づけとして学校教育が果たす役割の重要性は強調されなければならない。
動機づけには,いわゆる内的動機づけと外的動機づけがあるが,高校教師の多くは外的動機づけを重用し,生徒の自発性の高まりを待つ内的動機づけの工夫に積極的でない。
適切な内的動機づけがあってはじめて外的動機づけも生きるのであって,特に学習の進度の遅い生徒には,外的動機づけ(たとえばテスト懲罰など)だけでは学習意欲の高まりは期待できない。
英語学習に対する生徒の期待を理解し,生徒の能力に適合した適量の情報を与え,新しいものに対する好奇心を刺激し,激励し,相談にのり,成功感成就感を味わうことができるよう根気強く指導することが肝要である。
4) 共同研究
新しい外国語教育の成功のために,教師個人の力でできる範囲にはかぎりがある。他の教科科目の場合も同様であるが,いかにすぐれた能力をもっていても,個人の力ですべての生徒に適応した授業を実施することは困難となった。
1クラスを1名の教師が担当して,50分の授業を実施する形態が,これからも従前通りの効一果をあげることができるかは問題である。