高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-065/82page

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複数の教師が機器の助けをかりて工学的視野から授業を組み立てて実施する方法が,現代的手法としてとりあげられている。特に外国語教育においては,機器を用いての録音教材はきわめて貴重であり,普通教室はもちろん,LL教室などでは欠くことのできないものである。

教師の個性が生徒に与える影響は,良きにつけ悪しきにつけ大きいものである。有資格者である教員の質は差がないというたてまえに立って,学級担任や教科指導が教師個人の責任にまかせられるのは,高校教育の全体からみて望ましいことであろうか。

社会の進展,科学技術の革新がもたらした複雑な生活環境のもとで,個人によって可能な管理指導には限界がある。授業も,計画・準備はもちろん,デモンストレーションに至るまで,複数の教師の協力によって実施することが,これからの授業改善には必要であり,生徒に学習に対する興味・関心をもたせるのにも役立つであろう。

特に,教育機器の利用にあたっては,たがいに援助しあい,ハードウェアの管理やソフトウェアの開発に努力しなければならない。

5) 研修

教育活動はすべてが生きた人間関係であり,その内容方法がどんなに改善されても,指導する教師の人間性が大きな影響力をもち,有能な教師が指導にあたれば内容方法がどんなものであっても教育の質は向上するという論もある。

英語の授業においては多くの学校で教師と生徒の学力が大きすぎるために,教師は授業に臨むにあたって特別な準備をしないでも指導できるような錯覚をいだきやすい。そのような場合の授業は,読んで訳すことで終始し,生徒を英語ぎらいにさせてしまうのである。

英語で自己を表現したいという生徒の期待にこたえるためには,教師自身の英語による自己表現が最も効果的てあり,生徒の意欲を強めることかできる。教師の英語運用力を高めることが授業改善の基本である。

英語教師の研修は,英国や米国に留学することも有益であるが,国内にあっても生の英語に接する機会は多く,意欲さえあればいくらでも研修はできるはずである。

(7) 評価

評価は授業改善のためのフィードバックであることを認識し,生徒の学力の総括的な評価のみを重視するのではなく,学習の過程を省みてたえず授業の進め方に修正を加え,効果的な授業の開発を図らなければならない。

外国語学習が学校教育でおわってしまうことのないように,社会生活の中で外国語に対する関心を失わず,必要あれば学習を深めることがてきる基礎学力を意欲を有成することに評価の意義はある。

評価は,目標があって成立するものであるから評価内容は目標を具体化したものになる。したがって「英語1」においては,聞くこと,話すことの評価に特に留意し,「英語2,3」においては読むこと,書くことの評価に重きがおかれるかもしれない。

しかし,聞く,話す,読む,書くの4技能についてたえず評価が行なわれるべきであり,聞く話す分野の評価は必ず音声を通して実施し,ペーパーテストによる読み書きの評価をもって英語学習の評価とするのは望ましくない。


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