高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-072/82page

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面から援助するものとして考えられなければならない。しかも,生徒指導・教育相談・進路指導の三つの概念が有機的にかみあい,補いあってこそその機能が十分に発揮できるものである。このような考えに立脚して生徒指導,一教育相談,進路指導のありかたを再考してみるに,今日まで学校現場では教育相談は生徒指導の下位概念としてとらえられていたり,進路指導は就職指導とおきかえられて考えられたりした誤りは,今後破棄されるべきことは当然である。故に今回の教育課程の改善については,この点を含めてまでの改善が望まれる。(現行では,生徒指導教育相談,進路指導はどのようにちがうのかの明確な理論的展開はないように思われるし,できうればこれらの三概念を教科,教科外活動の二概念と対比する領域概念に明示することが可能ならは,さらに飛躍的な活動が期待される)

図6 学校ガイダンスの位置

学校ガイダンスの位置

(2) ガイダンスと倫理社会

さきにわが国の教育制度は単線的であり,小,中高の一貫性が強調されてきたことに触れたが,このような一貫性教育を考えるならば,小,中学校において実施されている道徳が,何故高等学校にあっては実施されないのか疑念かもたれるのは当然である。この点については,本県に与えられた研究領域から遠く離れるので,詳細に論述することは避けるが,日本史,世界史の歴史学科群,地理A,地理Bの地理学科群,および,かつては同一科目として倫杜と合併実施されていた政治経済と倫理社会とは,まったく異質のものであり,高等学校教育においての情緒的・道徳的な面の教育を担うものとしてとらえ,社会科教科群から倫理を取りはずし,新たに倫理教科として独立させていくべきであろう。

しかも,現行の倫社の実施単位数2より大幅に必修単位数を増し,最低6単位(各学年2単位)以上とするのが望ましい。さらに,倫社の担任教師は,スクール・ガイダンス・ティーチャーの一員としてスクール'カウンセラーの働きを担い,高校生徒のキャリア・ガイダンスに関与するような制度がとられるべきではなかろうか。なお,このシステムについては,ガイダンスの実施老の項において詳述したい。

3 教科指導とガイダンス

高校全入,生涯教育と高校教育,冷たい高校から温かい高校への項において述べたとおり,能力適性に応じた高校教育は,まず生徒の能力・適性をいかにとらえ,能力に応じた教科選択指導のためのガイダンスが行なわれなければならない。しかしながら,現在の高校においては,ほんの二三の選択科目の選択が,かろうじてなされているにすぎず,まったくといっていいほど教師と生徒の間にガイダンス的な話し合い指導がなされていない。

しかも,このわずかに残された教科選択性の自由も,指導助言という美名のもとに,おおよそガイダンス的な指導とはほど遠い,半ば強制的な指導がなされていることも事実である。

現行の教育課程でも,かなりの教科選択の自由が各学校に付与され,各学校が自己の生徒の能力・適性を考慮して各学校に適する教科課程が組まれることができるようになっているが,現実にはそれらの教科課程も能力適性に適合した,各学校の独自性が明確にうちだされたものは少ない。

すなわち,教科選択・コース選択の幅が年を追って狭くなり集約化され,いずれの高校をみても同じ教科が履習されているようである。

本研究では,本来の高校教育が能力適性に応じた


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