高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-075/82page

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の場にガイダンス機能のみを全面的にとり入れて,知的教科指導を強く圧迫させてしまうようなことが生じない工夫も考えていかなければならない。

さきにも述べたように,教育には教え育てるという二つの機能がある以上,この両輪を共に同じ方向に,同じ回転数で回す必要がある。そのような意味あいから年度始めに集中的なガイダンスを行ない,生徒個人にその年の走る路線を決定させ,そのうえで車輪が着実に回るようにしなければならない。このことを図示しながら説明してみよう。

図8 集中ガイダンスと常時・継続的ガイダンス

集中ガイダンスと常時・継続的ガイダンス

1年,2年,3年の各学年とも,4月に集中教科履修のためのガイダンスをおこない,1年,2年生は学年末の3月に,3年生は2学期開始と同時に進路指導,履修反省のための集中ガイダンスを実施するように計画し,それ以外の期間には継続的なガイダンスを実施するように計画するのが望ましいといえる。

ただし,1年生にあっては4月の集中教科履修ガイダンスを5月まで延長させ,4・5の2ヵ月間に高等学校学習のオリエンテーション,次いで1〜2週間の実際の学習体験,さらにオリエンテーションに基づいた学習体験を土台にしての集中履修ガイダンスが連続的にもたれるように計画されることが最も望ましい。

なお,この集中ガイダンス期間中にその年度の自己の履修教科目の変更の配慮が加味されていることは当然であり,このことによって現行の「履修してみたら自分の能力・適性・進路に不適合であった」という不合理性はほとんど排除されるものと推測される。

また,集中ガイダンス期間にあっては,1・2・3年生ともに教師対生徒の対話によるガイダンスのみにとどまらず,生徒集団による話し合い,すなわち集団力学的な力を利用したガイダンスも十分にとり入れられるべきである。

(2) 日常的ガイダンス

現行までの教科学習にあっては,成績上位グループと成績下位グループの間に極めて深い断層を作りがちである。このことについてはいろいろの要因が考察されると思うが,その一つに日常的継続的な履修ガイダンスの不足が考えられる。したがって以下のような配慮による改善が望まれる。

図9 教科指導における教師と生徒の関係

教科指導における教師と生徒の関係

・授業についていけない生徒の 1) 実態のは握 2) 学業不振の原因追究 3) 向上意欲と自己実現意欲の有無などをとらえ,どのような方法でこれを改めさせるかを考慮させるべきである。また,一方 1) その生徒は引き上げられる可能性があるのか,あるとすればどのようにすべきか。2) 学習内容は適切かもし難度が高い場合には下げる 3)学習分量は適度であるか。もし分量が多い場合は軽減するなどの手段が履修ガイダンスと併せて行なわれるべきである。

現在の高校において,高校教育のレベルについていけない生徒が多発していることは事実である。こ


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