高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-076/82page

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の事実にかんがみ,生徒を直接指導する側面と教材内容の変更などの間接指導の側面を,日常ガイダンスの場を通じてより効果的にからみあわせ,常にフィード・バックを行なうよう考慮すべきである。

図10 日常的ガイダンス

日常的ガイダンス

(2) ガイダンス実施の時間確保

1) ホーム・ルーム,クラブ,学校行事等のための時間の増補

現在の高等学校では,教科外活動のために充当される時間は2単位,週2時間である。

これは,週34時間の授業時数の1/17であり,小・中学校の道徳に匹敵する倫理社会を加味しても,生徒の人格の陶冶に焦点をあてておこなわれる時間は2/17にすぎない。

時間的比率のみで事の軽重を判断するのは極めて危険であることではあるが,現在までの高校教育にあっては人格陶冶教育より教科教育に重点がおかれてきたことは疑えない事実であろう。

今後の高校教育が,教科教育にあっては能力適性にみあうもの,人格の陶冶を目的に情操豊かな道徳心の厚い生徒を育てる教育に方向転換を目ざさなければならないとすれば,教科外活動をより重要視していく考えかたが強調されなければならない。したがって,現在,教科外活動に充当されている2単位を,少なくとも4単位に増加するとともに,教科偏重のあまり,教科外活動のための時間を割愛して他の時間に充当したりするような態度を厳に慎しみ,教科外活動の完全実施の方針を徹底させなければならない。

なお,週2時間の時間配当から,週4時間の時間配当に増加する2時間は,総論で論述したとおり必修履修単位数の削減にともなって,十分に生み出すことが可能な時間数と考えられる。

2) 集中ガイダンスのための時間

集中ガイダンスの実施の必要性と実施の時期については前述したが,その実践の時間の確保はいかになされるべきかについては詳述がなされなかったので,ここで述べてみる。

・ 1年生に対して

1年生が高校に入学してまず感ずることは,高校は冷たいということである。このことは「生徒の進路希望が大学進学なのだから,その希望をかなえてやるには」という大義名分のもとに,一方的な"ハッパ"をかけられることで生ずるものと解される。さらに,父兄との話し合いも単に伝達や報告,説明の形でなされているばかりで,血のかよった話し合いは皆無に近い。この点を改善し生徒と教師,父兄と教師の十分な話し合いがなされれば,高校はもっともっと温かい場に変るものと考えられる。このためには,新入生に対しては4月中の数日間,午前中は教科学習,午後は教科ガイダンスのような計画をたてるのがよい。また,父兄に対するガイダンスも,日に数名の父兄と面接ができ,1〜2週間で父兄と話し合いが可能となるよう計画しなければならない。

この集中ガイダンスは学年末にも実施されるよう計画されることが最善であるのはいうまでもな


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