高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-077/82page

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い。

なお,これらのガイダンスに要する時間は,履修単位の減少の分と,教科外活動のために増加される時間の集中配分の方法でもって充足できよう。

・ 2年〜3年生に対して

2年生,3年生の生徒に対する教科履修のためのガイダンスは,1年生のそれと同じであるが,1年生と違ってすでに高等学校に1年ないし2年の在籍期間があり,教師と生徒,父兄と教師の間にはすでにいくどかのガイダンス指導がなされている。したがって,1年生ほど入念なガイダンスは不必要であるかもしれないが,前年の教科履修の反省に基づいたガイダンスが必要となろう。また,3年生については,特に進路指導のためのキャリア・ガイダンスが2学期以後に集中して実施されるべきであろう。

5 ガイダンス理論の研修

(1) 現職教育とガイダンス

1) 学校長・教頭の現職教育

いかにすばらしい計画,いかに立派な目標や組織が作られても,それを実践していく人がいなければ,魂の入らない仏のようなものである。学校長,教頭はその目的を十分に理解し,いかにして部下職員がその目標を達することが可能かを,校長会,教頭会の場で研究研修し,部下職員が実践しやすい場を作り出してやることが必要である。

2) 教務主任の現職教育

現在の高校にあっては,教科課程の編成は教務主任が中心となって,各教科主任の構成メンバーによって原案が作られたり,修正されたりしていることが多い。したがって,教務主任が教科課程の趣旨の理解を深め,各学校に適する教科課程の原案の原案を作ることが可能な線まで研修をおこなうこと,さらには生徒たちと個々に履修ガイダンスを実践する教科主任に対し,適切なスーパービジョンを行なうことがてきるように自己研さんを義務づけたい。なお,この研修は教務主任制度とからめて考えるべきであろう。

3) 教科主任の現職教育

学校長,教頭の命を受け,教務主任をリーダーとして第一線の教科履習相談担当教師として働くことのできるような研修が必要である。このためには,ア 教科課程のありかたの徹底理解 イ 相談心理学の学習 ウ 学習心理の研修などが現職教育として実施されなければならない。なおこの研修は,県教委が文部省と共催で実施し,研修終了者のみが教務主任に登用されるような制度になるよう望まれる。

4) 生徒指導,進路指導主任の現職教育高校全入,キャリア・ガイダンスの普及などにともなって,ますます生徒指導・進路指導の重要性は増すものと思われる。この結果,教科を教えるのが高校教師の本務であり,教科外活動に手を出すのは本務からはずれたことであるなどと暴言をはく教師も少なくないものと思われる。しかしながら,まだまだこのような思想が残っている節も見当るので,生徒指導一進路指導は教科指導と同比重で考えられなければならないものであることを押し広めていく研修が必要となる。

なお,この種の研修はすでに数年前から文部省と県教委の共催事業として実施されているが,教務主任研修終了者が教頭に登用されると同じように,本研修終了者も教頭に登用されるよう義務づけたいものである。

5) 一般教員に対する現職教育

現行までおこなわれてきた高校教育の中で,生徒不在の教育(生徒の能力適性より教師側の興味その他で教科課程が選ばれている)は,どのようにして作りあげられてきたのか,それを改善するにはいかにあるべきかを真剣に考え,ア 生徒の能力適性のは握の方法を学習させる イ さらには相談心理学的技術を研修させる ウ 学習心理を研さんさせるようにしたい。


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