高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-078/82page

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(2) 教員免許取得のためにガイダンス理論を.必修科目とする。

わが国の現行の教員免許には,1級,2級の別,小,中,高の別,特殊教科科目別にわかれてはいるが,いかなる大学においてでもある一定の単位を取り,さらに教職単位を履習すれば,なんらかの教員免許か取得できるようになっている。だが,本当に現在の教育に必要なのはなんだろうと考えた場合,学問の深さよりも,教師が生徒を育てていくという情熱だと思える。この情熱は単に数単位の心理学的単位の増加で生れるものではないとしても,生徒と取りくむ意欲や手がかりを若き教師の心に育成することができるかもしれない。このような観点から,現行の教職単位(心理は2単位)にガイダンス理論か臨床心理学を2〜4単位増加させる必要があろう。

また,現行の免許制度で,2級から1級への上級免許取得制度にもガイダンス理論の増加履習の必要性が認められるし,この履習がなければ教務主任,教頭等の管理職登用の道はないものとする制度の新設と併せて考えられる必要があろう。

6 結論

能力・適性に応じたガイダンスはいかにあるべきかについてまとめてみたが,ガイダンスとは何かの定義をふまえずに論述を行なったことに疑義が感ぜられたことと思う。しかし,ガイダンスとは何かをとらえることは極めて困難であり,先学のこれに対する定義も多種多様である。また,学校においてのガイダンスとは,学習ガイダンスを指すのか,履修ガイダンスを指すのか,生徒指導や進路指導とはどのような違いがあるのか,学業指導と学習ガイダンスの差異はどのようなものかなど,われわれが普段無造作につかうガイダンスという言葉がはなはだあいまいに使われていることも事実である。このことは,ガイダンスを広義に解するか狭義に解するか,あるいはガイダンスの分野や対象によっても大きなずれがあることを示唆するものである。したがって,この小論においては主として履修ガイダンスの面から能力・適性に応じたガイダンスのありかたを論述してみた。

しかし,いかに優れたガイダンス・システムが考案され,学校現場に組織化されていっても,その組織を連用する人=教師か,真の教育のありかたを追究し,常に実践を行なう構えがなければ,そのすばらしい組織も全く形骸化してしまう。したがって,組織と人間の協力協調こそが明日のすばらしい教育の開花をもたらすことを信じ,両面からの接近を計ることを期待し結論とする。


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