高等学校における生徒の能力・適正,進路志望等に対応した教育内容,指導方法等の研究開発について-080/82page

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に是正するかが大きな課題であろう。

(4) 履修ガイダンスの不足

高等学校での教育課程からの落伍者が増加している中で,教育課程の改善に比して,履修ガイダンスの立ち遅れが存在している。その意味で,ガイダンスのあり方を真正面から取り上げ,教育諸活動との関連のあり方,その実施のあり方等で検討を残している問題は多い。

(5) 教師の研修の不足

教育内容の改善の努力は,戦後教育の歴史であったといってもよかろう。しかし,教師の側に,それを生かすだけの力量がなければ,具体的には,毎日の授業を効果的に実施する方法論をもたなければ,高等学校教育の改善はほど遠い。

次に,現場の教師は,授業を,教科学習に限定する傾向がみられ,生徒の立場に立った教育のあり方,全人間教育の立場に立った教育のあり方についての研修が不足していることは,否めない事実であろう。

2 改善意見

上記の問題点の解決は,指導の方法を改善するだけでは解決できない問題であり,高等学校教育は内容的にも,制度的にも検討しなければならない時期にきている。その解決のための視点と,その問題点の改善策を列挙すれば,次の通りである。

(1) その視点

高等学校の現状は,ほとんとすべての若い者が学習する教育機関であり,小,中,高を通して普通教育をほどこすところに力点がおかれるべきで,初等か,中等か高等かは,生徒の能力,適性に応じて考祭されるべきであろう。その具体的視点として次の点が考えられよう。

1) 高等学校は,生がい教育の観点から人間教育の基礎づくりの一応のまとまりとしてとらえる。

2) 高等学校は,卒業後,学習の継続を可能とする基礎学力を養成するものとしてとらえる。

3) 高等学校は,単なる知的教育に偏することなく,正しい職業観,勤労観にささえられた学習意欲を育成するものとしてとらえる。

4) 高等学校は,生徒個々のすぐれた能力・適性を効果的に開発し,伸長させるものとしてとらえる。

(2) 改善意見

1) 高等学校教育の理念の保守性の改善

高等学校を,小,中,高を一貫した普通教育の機関としてとらえ,各高等学校において,現在の抽象化している各高等学校の教育目標にメスを入れ,魅力あり,かつ,独自の学校教育目標が具体的に作成される必要かあろう。加えてその目標達成が客観的には握できるしくみをもつことが緊要であろう。

2) 教育課程の固定化の改善

生徒の能力・適性の多様化の対策としては,抜本的に,必修教科・科目を厳選するとともに,高等学校の3か年を,学習での第一段階,第二段階の構造としてとらえることも一方策であろう。

第一段階としては,中学校までの学習を補充強化する場としてとらえ,その後,それぞれの教科から,いくつかの科目を選択して,高度な学習に移れるような構造が望ましい。その効果的な連用のためには,高等学校入学時に,基礎


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