OHPの活用とTP制作の手びき-003/152page
2 OHPの利用とOHP教材の作成
OHPは身近な教育機器として先生方に親しまれ,利用されている。
それは,OHPの取り扱いが容易であり,手軽に使えるということと,利用範囲が非常に広いということからだと思われる。たしかに機械に弱いという人にもOHPは機械という意識をあまり感じさせないし,また,慣れるにつれていろいろの使い方をくふうして効果をあげている例もたくさんみられる。
しかしその反面,TPを製作するのが大変だとか,黒板だけで充分であるなどの意見もよく聞かれるし,見えにくい映像のまま提示したり,単なる教材提示にのみ利用している例もみられる。
そこでもう一度OHPの特性や使用上の留意点,OHPの利用の手法などについてふり返ってみて,OHPの多様な利用,児童・生徒の実態や学習のめあてに即した活用ができるようにしたい。1.OHPはなぜ授業に利用されるか
OHPは瞬時に多量の情報を提示できるという映像機器の一般的特性のほかに ・資料内容の具象化,明確化 ・資料提示方法の簡便性,多様化 ・注意力の集中化・思考活動の援助などの効果,をあげることができる。
しかし,このような効果もOHPを“何となく”使っていたのでは期待できない。あらかじめOHPの特性を十分に研究し,OHPの良さを生かし,OHPの限界をふまえて,その特性を発揮できるような教材をつくり,適切に授業の中に位置づけではじめてOHP利用の効果が期待できる。
ここではOHPやTPについて,その特性を述べることにする。(1)OHPの機能と特性 OHPには次のように数多くのすぐれた特性があるが,この特性はOHPのくふうされた機能から生まれたものであり,OHPの特性とOHPの機能との関連を示すと次のようになる。
また,この特性について簡単な説明を加えると以下のようなことがいえる。
特性1 明るい教室で使用できる
OHPの映像は,同じ光学系の映像機器である16ミリ映写機やスライド映写機にくらべてはるかに鮮明である。そのために,教室を暗室状態にする必要がなく,通常の明るい教室で使用する