OHPの活用とTP制作の手びき-006/152page
TPは,透明シートにOHP用のペンで手書きするだけで簡単にできあがる。毛筆で書写用のTPを作ることもできるし,カラーペンや,カラーシートを用いれば変化に富んだ,きれいなTPを作ることもできる。最近は,書物や地図などを複写してTPを作ったり,写真法を用いてTPを作ったりすることも多くなってきた。
また,製作の簡便さのために,授業の中で,学習者の考えを引き出しながら完成させていく方法も多く用いられている。
製作用の材料は,市販されているものも多いが,市販されている専用材料だけでなく,画用紙やボール紙,プラスチックなど身のまわりにあるもので活用できるものも多い。
(TPの自作についてのくわしいことは,2-4 TPの自作 P.25を参照のこと)特性2 色彩による効果を生かすことができる
TPには,市販されているものはもちろん,自作したものでも豊かな色彩を用いて学習者に美しく楽しい資料を提示しているものが多い。
このようにTPに色彩を用いることによって,興味・関心を高めるのとともに,多くの効果が期待できる。
(TPの色彩効果については「資料提示のくふう 3)色彩効果法」P.24を参照のこと)特性3 光,電流などの流動状態を表示することができる
偏光シートや万線シート(光の干渉現象を利用)を用いて,光,電流・血液・季節風・海流などの様子を流れ動く映像で表示することができる。
TPの流動表示は映画やテレビのような動きは出せないが,それなりに効果もあり,学習者に興味や関心をもたせ,直観的な理解を助ける。また学習内容を具体的な映像で定着をはかるなどの利点もある。
(TPの流動表示については「OHP利用の手法とその特色 6)流動法」P.20を参照のこと)特性4 重ねたり,分解したりして提示できる
TPはうすいシートなので,それを2枚・3枚と重ねて投影することができるし,重ねて投映しているものから,不必要なものを取り去ることもできる。また,重ね合わせて投映しているシートの1枚だけをずらすことによって,映像の中の一部だけ位置を移動させることもできる。合成分解法や移動表示法は,TPの特性をじょうずに生かした提示法である。
(「OHP利用の手法とその特色 4)合成分解法 5)移動法」P.19を参照のこと)特性5 学習者の状況に即し,コントロールしながら提示できる
テレビや映画による教材提示は,定まった順序でつぎつぎと一方的に行われる。しかし,TPは,教師が一枚一枚手で操作しながら提示するものであるから,次のように実態に即して変えることができる。
・提示速度を加減する。・提示順序を変える。・内容を入れかえたり,加えたり,削除したりする。・必要に応じて何回も反復提示する。特性6 何回でも使用できる
TPは,投映しても損傷することはほとんどない。何回でも繰り返し使用できる。他のクラスで同じように使用できるし,翌年にまた使用することもできる。