OHPの活用とTP制作の手びき-012/152page
かし,OHPのステージに絵はがきを置いても,黒い四角の影が写るだけである。OHPは光をよくとおす材料で作られた教材や資料でないと,その内容を画面に映像として写しだすことはできない。
ウ OHPは,透明なものであっても,その厚さや形状によって鮮明な映像が得られない。
透明な材料で作られた資料であっても,何故も重ねれば透明度が悪くなるし,厚味が一定でないものも焦点が一致しないので,映像に不鮮明な部分ができる。また,曲面のある資料は光が通過するとき屈折してしまい,正しい形状でスクリーン上に映写することはできない。そのために化学実験を投映する場合には,ビーカーや試験管も曲面のない特殊なものを使用しなければならない。
エ 明る過ぎる場所では鮮明な映像は得られない。
OHPは,明るい場所で使用できるといっても,それには限度があり,日差しのある屋外や,明るい窓ぎわ,明るい電燈が直射している場所では,鮮明な映像にはならない。
明るすぎる場所では,遮光カーテンをつけるなどのくふうが必要である。
オ 使用できる資料の大きさに,限界がある。
普通に用いられているOHPのステージは,25cm×25cmのものが多い。したがって,用いられる資料は,ロール式のものを除いては最大25cm2のものに限られる。
カ 細かな図表や複雑な図表の提示には不向きである。
OHPは,スクリーンとの距離が大きい程拡大率は大きくなる。しかし,1.5〜2mはなしたときの映像が最もよく,それ以上離すと,映像が不鮮明になる。したがって,あまり細かな図表や,複雑な図などを拡大率を大きくして投映しようとしても,鮮明な映像を得ることは困難である。最近,複写TPによって,印刷資料をTP化することが多くなっているが,後方の学習者からは見にくい映像になっていることが多い。
キ 長時間の使用は,目によくない影響を与える。
長時間にわたって,OHPによって投映された明るい映像を見つめていることや,明るいステージ上を見つめていることは,ともに目を疲れさせる。できるだけ途中でスイッチを切って目を休ませることが大切である。
2)OHP利用上の留意点
ア 正しい,見やすい映像を提示するよう配慮する。
OHPやスクリーンを正しく設置しないと,映像はゆがんでしまう。ゆがんだ映像で資料を提示した場合は,学習者にあやまった認識を与える危険性をもっている。とくに図形の提示の場合は,正しい映像にして提示するように心がけなければならない。
また,スクリーン設置場所によって鮮明な映像が得られない場合や,文字が小さくて見にくい場合などもある。これらの提示上の問題点を解決しておかないと,せっかくOHPを用いても,その効果が期待できないばかりか,逆に学習効率をそ害することにもなりかねない。
イ レイアウトや色彩の使い方を誤らないようにする。
あるまとまった内容をOHPを用いて提示する場合は,その内容をパターンとして視覚を通して認識させる。それを引き出す場合もパターンとして再生され,そのパターンによって思考し,判断する。パターンとしての認識は,文章を通した認識よりも強力であるだけに,あやまったパターンで認識すると,それがなかなか消滅しないで,その後の正しい思考のさまたげになる。
また,色彩の用い方についても同様のことがいえる。美しさだけを考え,内容の焦点をよ