OHPの活用とTP制作の手びき-026/152page
ここでは,OHP教材としてのTPを自作する意義やTPを自作するのに必要な材料・用具そしてTP等を自作する方法など,よりよいOHP教材をつくるためにぜひ身につけていただきたいことについて述べる。
ただし,最近は市販のTPもかなりよいものがあるので,その中から適切なものを選んで活用することも大切である。その際市販TPはだれにでも使える一般的普遍的内容が多いので,活用にあたっては次のような点に留意することが必要である。
○身近に入手できない資料や自作しにくい複雑なもの,また市販のものも自作のものもあまり内容が変わらないもの(機器・器具の操作法など)を購入する。
○児童・生徒の実態にできるだけあった内容,程度のものを選ぶ。
○いくつもの内容をゴテゴテ入れてあるものや,字の大きさが不適当なものはさける。
○市販のTPと自作のTPと組み合わせて利用する。
○市販TPの上にロールシートなどをのせて記入したり,全体部分提示法をとり入れたりしてくふうした提示をする。
○事前に教材研究をし,必要な市販TPを指導過程に位置づけ,目的にそって利用し,あまり意味のないものなど,むやみに提示しない。
また,TPの内容を教師自身がよく理解し,消化して完全に自分のものにしたうえで利用する。(1)TP自作の意義と手順
1)TP自作の意義
市販TPの活用について前に述べたが,まだ「よい教材」すなわち指導の内容やねらいに即していると同時に,学習者の実態にあった教材は一部を除いて市販のものに求めることはできない。
ここでは,このような教材の重要性に着目し,TP自作の意義について考えてみることにする。
ア 指導のねらいに即した教材が得られる。
指導のねらいにあった教材の製作は,学習者の実態を的確には握し,それに即して指導計画を立案し,学習指導の展開を試みる教師だけにできることである。
そこで,簡便な方法でたやすく自作できる利点を生かしてTP教材を教師自身の手で製作し授業に生かすことは,効果的な指導を展開することになる。
イ 学習指導過程への理解を深める。
TPを製作する場合には,学習指導の展開を細部にわたって具体的に検討しておくことがいや応なしに要求される。つまり,TPの自作をとおして,知らず知らずのうちに,厳密な教材研究が行なわれることになる。
また,画面の構成を考え,提示内容を検討していくうちに指導のねらいがいっそう確かなものとなり,学習指導過程へのOHPの位置づけが明確にされ,その学習指導の全容が具体的には握される。
ウ 教材製作の技能・能力を高める。
自作教材を使って授業をすすめると,それに対する児童・生徒の反応を敏感に感じるようになり,教師自身に喜びや反省が生まれてくる。このことが次の教材製作に生かされる。
このように自作の教材を実際の学習の場で使用することを積み重ねていくことによって,教材製作の能力や技能を高めることができる。
エ 市販教材の効果的な利用法がわかる。