OHPの活用とTP制作の手びき-043/152page

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国語科


1.国語科におけるOHPの活用

 国語科の特質は,なんといっても「言語」そのものの学習を中心とするところにある。教科書に教材としてとりあげられた文章が,社会科的内容であっても,理科的内容であっても,学習のねらいは,子どもたちの言語能力を高めることである。
 したがって,国語科におけるTPの活用は,当然,児童・生徒の言語学習の効果を高めるためのものでなければならない。
 現在,国語科においては,「表現」・「理解」の領域,言語事項の指導の中でTPは幅広く,多様に活用されている。たとえば,語句や漢字の学習では,部分提示法,合成分解法などを用いて読み方や意味の指導をしたり,作文の学習では,学習者反応表現法を用いて共同批正,共同鑑賞をさせたり,毛筆による書写の学習では,板書的手法,シルエット法を用いて運筆の指導をするなどである。
 ここでは,このように多様な活用の中から小学校は,「理解」の領域の「読むこと」,中学校は言語事項に焦点をしぼり,低学年では,一年生の物語教材を中心に,読むことの目標に応じた指導のためのTP活用,中学年では,三年生の説明的文章教材を中心に,個々の考えを検討するためのTPの活用,中学校では文法教材を中心に合成分解法などによって,より理解を深めるためのTP活用について述べることにする。
 なお,国語科の場合,教科書の改訂のたびに,若干,教材のさしかえが行われるが,教材が変わっても,ここに掲載する例を参考にして利用できるように考慮した。

2.OHP活用の具体例

(1)読むことの目標に応じたOHPの活用(低学年)

 一年生の入門期の教材は,さし絵とことばを結びつけて「話のあら筋や場面の様子を想像しながら読む」ことが目標である。さし絵からその場の情景を想像させ,それとことばを結びつけて登場人物の心情を読みとっていく。したがって,さし絵はことばと同じように重要な働きをもっているわけである。
 一方,九月ごろの教材は,「場面の様子を想像しながら読む」という目標そのものは同じであっても,扱い方が文章そのものの読みとりになってくる。地の文が入門期におけるさし絵の役割を果たすようになり,それをもとに会話の文から登場人物の心情を読みとり,イメージをふくらませていく。したがって,この場合のさし絵は,地の文を読みとるための補助的な役割を果たすためのものとかわってくる。
 OHPの活用も,上記のことをふまえて活用すべきである。次に前者の例として「ありとはと」(東書),後者の例として「ことりと木のは」(光村)をとりあげ,具体的な扱い方を述べることとする。
 1)単元名「ありとはと」
 ア.単元の目標
 ○さし絵と会話を結んで話の筋や場面の様子を想像しながら読むことができるようにする。
 ・さし絵を手がかりにして,話の筋や場面の様子を読みとることができる。


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