OHPの活用とTP制作の手びき-096/152page
体育・保健体育科
1.体育・保健体育科におけるOHPの活用
(1)体育分野におけるOHPの活用
体育分野の各運動領域の内容のなかで中核をなすものは,運動の合理的実践による運動技能の習得にかかわる内容といえる。これらの運動は,目や耳などの感覚器によって刺激が受容され,その興奮が脳につたえられて解釈されたり,選択されたりして筋に命令が伝達されておこなわれる。このさいに,目などの感覚器に正しい運動の方法(正しい動作や運動の方法など)をあたえることがたいせつである。
体育の学習指導では,言葉だけで運動の方法を提示することがむずかしいので,これまでも図,絵,さし絵,写真,スライド,映画フィルム,モデル人形などの視覚的資料,教師あるいは技能のすぐれた児童・生徒の示範が情報提供のために用いられてきた。最近では,これらに加えて,オーバーヘットプロジェクター(OHP),ビデオテープレコーダー(VTR),コンセプトフィルムプロジェクター(CFP)などを用いて情報が提示されるようになってきている。
これらの教育機器のなかでも,OHPは運動の方法を児童・生徒に正確にしかも反復的に提示して理解させるのに有効である。しかし,体育の授業でこれを活用しようとすれば,授業が屋外でおこなわれることが多いので,「教室でOHPを使ってから外へ出て運動をしたり」,「運動場に近い校舎や体育館の一角に投映設備をしたり」する工夫が必要である。(2)保健分野におけるOHPの活用
保健は,小学校の5年生から高等学校の2年生まで継続して学習させることになっている。保健の学習指導において,とくに「学習を個別化するために児童・生徒の個人差を十分は握し,それぞれの児童・生徒の能力に応じて適切な教材を提示するとともに児童・生徒の個々の学習を即時に評価してやったり,適切な動機づけを行う」ことが強調されている。
そのためには,OHP,スライド,VTRなどの教育機器を学習指導に活用することが必要である。そのなかでもOHPは,操作がきわめて簡単で生徒でも容易に使用できるのでその利用価値が高い。
OHP活用の主な利点として,次のことがあげられる。
1)からだの発育・発達,環境衛生,精神衛生,公衆衛生,栄養,病気,傷害などの現状をしめすもっとも新しい統計資料を指導内容に応じて,豊富に,しかも理解しやすく提示するのに有効である。
2)からだの内部構造や公害などのように健康に関することがらのなかで,生徒が実際に見ることのできないものを理解させようとする場合が多い。したがって,教科書やその他の資料などの実物写真をOHPを用いて拡大したり,着色した写真や絵図とともに文字や記号を合成分解法で提示するのに有効である。2.体育・保健体育科におけるOHPの活用例
(1)「腕立て閉脚跳び」のやり方を理解させるための活用例(小学校第4学年)