OHPの活用とTP制作の手びき-140/152page
書かせ,その後における態度や行動の観察を通して,個別指導をすすめるようにする。
(4)交通安全指導のための活用例
学級指導において交通安全をとりあげるとき,ともするとことばによる注意のみに終始することが多い。また,学年の発達段階に応じた指導を工夫しながらも,同じ内容のくり返しになってしまい,角度をかえたとりあげ方はなかなか難しいものである。
交通安全指導にあたって,歩行者の立場のみではなく,運転者の立場からもとりあげて理解を深めさせていくことは大きな意義をもっている。
自動車の運転者の視界が,速度によって変化することを,児童生徒が自分の経験から理解することは不可能である。そこで,自分は自動車が見えても,自動車の運転者に自分が見えているとは限らないことを理解させる必要がある。
運転者の視界 TP1 TP2 TP3 TP4
静止しているとき,人間の視界は120°あり,自動車が時速100kmで走っているときの運転者の視界は60°にせばまるといわれている。
このことをOHPを利用して理解させ,歩行者としての注意を喚起するようにしていく。TP1によって自動車が前進している状態を確認し,TP2をオーバーレイして,TP1における景色のうち120°の視界で運転していることを示す。次にTP3を重ねれば,赤色の部分は時速100kmの速度で走っている運転者の視界に入らない部分になる。 また,夜間の道路横断でおこる事故は,道路を渡り終わろうとする前に多くおこる。このことは,ライトの角度からおこる運転者の視界に関係している。 このことを理解させるには,TP4における1と2の部分の比較を通してすすめることができる。これによって,自分が自動車を確認しても,運転者が自分を確認していない場合があることを,とくに強調していきたいものである。