教師のための統計入門-001/233page
第1章 統計とは
1 統計とは
統計ということばは,ふつう,国情または社会等の情勢を,数字で表したものをいうようですが,自然科学,医学,心理学,教育学などでは,これと少し違った意味に用いています。この本で,統計ということばは,後者の意味で用いますので,まず,この意味を明らかにすることから始めたいと思います。
いま,昭和○年○月○日現在の,F市の高校1年生男子の全体を,一つの集団と見ることにします。(集団とは,この例のように,ある観点からみて,全く同じ性質を持つとみなされるものの集りをいいます。以後,集団といえば,すべてこの意味に用います。)
さて,この集団に属する各個人には個人カードというものがあって,このカードには,その生徒の身長,体重,胸囲,座高や,高校入試の国,社,数,理,英の成績…など,数字で記入できる項目(これを,定量的な標識または変量といいます)や,その生徒の保護者の職業,通学方法,趣味……など,数字では記入できない項目(これを,定性的な標識または質的標識といいます)などがあり,それぞれの欄には,例えば,身長166.8cm,…,英語41点…,通学方法バス…,のように記入されているものとします。つまり,どの生徒も
(1図)
定量的な標識とその測定値(変量) 定性的な標識とその回答 (注) 身長 166.8cm 国語 43点 保護者の職業 商業 体重 57.3kg 社会 38 通学方法 バス 胸囲 82.4cm 数学 35 趣味 書道 座高 89.1cm 理科 32 英語 41 ↓ ↓ 連続変量 離散変量
(注) 個性的な標識に対する回答も,以後は,広く,測定値ということにします。