教師のための統計入門-002/233page

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いろいろな標識を身につけており,各標識ごとに,それぞれの値をとっているわけです。

いま,わたしたちが,この高校一年生男子の定量的な標識(変量)の一つである身長について,それが全体として,どんな特徴や傾向を示しているのかを知りたいときには,このカードに記入されている身長の測定値を全部集めて,これを整理し,度数分布表や度数分布柱状グラフ(ヒストグラム)を作ったり,平均値や標準偏差などを求めたりして,その特徴や傾向をつかもうとします。

ときには,二つの標識,例えば,身長,体重について,各カードに記入されているこれらの測定値を,(身長,体重)のように対にして全部集めて,この二つの標識間の関連の度合いなどを,相関図から読み取ったり,相関係数を求めてつかもうとしたりします。

また,定性的な標識の一つである通学方法について,その実態を知りたいときには,各カードに記入されている通学方法の回答を分類して度数を調べ,汽車:何人何%,バス:何人何%…のように,これを比率で表したりします。

さて,統計とは,このような数字のことをいいます。つまり,統計とは,対象とする集団の,個々の要素が共通して持ついくつかの標識のうち,指定された標識の特徴,傾向などを数字で示したものをいいます。そして,統計をとるとは,このような数字を集めること,求めることを意味し,わたしたちが,統計をとる目的は,対象集団の指定された標識の特徴,傾向をつかむことにあります。

ここで,一つ注意しておかなければならないことがあります。それは,集団と標識の関係をよく考えて統計をとらないと,無意味な統計を求めてしまうことがある,ということです。

例えば,昭和○年○月○日現在の,F市の高校一年生全体を対象集団とみたとき,身長,体重,スポーツテストなどの標識は,男女によって質的に異なるものですから,これらの標識に関する統計は,男女別にとるべきです。しかし,高校入試の成績,通学方法などの標識に関する統計は,男女別にしなくても,


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