教師のための統計入門-004/233page

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たがって,母集団が,実体的母集団を意味する場合の標本は,この実体的母集団から任意に抽出された個々よりなる部分集団,ということになります。

(2) 記述統計学と推測統計学

統計学は,これを次のように,大きく二つに分けることができます。

統計学―記述統計学

     ―推測統計学

記述統計学は,母集団全体を調べることを目指して,できるだけ沢山のデータを集めてこれを整理し,そのデータだけの特徴を記述する方法について研究する学問で,これは,すでに,19世紀の終りまでに完成されています。

これに対して,推測統計学は,直接母集団について調べることはしないで,母集団から任意に抽出した標本を手がかりにして,この標本の特徴から母集団の特徴を推測する方法について研究する学問で,20世紀初頭ゴセット(英1876〜1937)やフィッシャー(英1890〜1962)などによって研究が始められた比較的新しい学問です。ここで,推測統計学では,なぜ直接母集団について調べることをしないのかという疑問を持たれる方もあると思います。もちろん,直接母集団を調べることができればそれでよいわけですが,実際は,時間的,経済的,労力的な面などから,その調査が不可能な場合が多いのです。ここに,推測統計学の活躍の場があります。

さて,推測統計学の立場でも,やはり初めは標本のデータを整理して,その特徴をとらえ,これを手がかりにして母集団の特徴をつかもうとするわけですから,わたしたちは,まず与えられたデータの特徴を何でつかむか,ということを学んでおかなければなりません。

その特徴は,すでに述べてありますように,ふつうは次のものでつかむことにしています。

1) 度数分布表       }データの整理・視覚化を図る。

2) ヒストグラムなどのグラフ}        〃


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