教師のための統計入門-045/233page

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ところで,平均値が50,標準偏差が10の正規分布では,平均値50からのずれが,標準偏差10の3倍以内,すなわち,区間(20,80)内には,全体の99.7%のものが含まれることがわかっていますから(p35参照),得点が正規分布をする場合の偏差値は,ほとんど20から80までの値をとることがわかります。

さて,数学の得点も,英語の得点も,ともに正規分布をするときには,両科目の得点をそれぞれ規準化して得られた二つの規準値集団は,平均値が同じ0,標準偏差が同じ1の全く同じ正規分布をしますから,集団として全く同じものであり,したがって,この二つの規準値集団から,それぞれ取り出された規準値は比較可能になり,大きい方が全体の中で上位の成績と判定できることはすでに説明しました。

このことはそっくり偏差値についても説明できます。

すなわち,数学の得点も,英語の得点もともに正規分布をするときには,両科目の得点をそれぞれ偏差値に変換して得られた二つの偏差値集団は,平均値が同じ50,標準偏差が同じ10の全く同じ正規分布をしますから,集団として全く同じものであり,したがって,この二つの偏差値集団から,それぞれ取り出された偏差値は比較可能であり,大きい方が全体の中で上位の成績と判定できることになります。

そしてこの場合,偏差値から,全体の中での相対的な位置を知る方法についても,すでに前ページで説明しました。以上は,得点が正規分布をするときの話でした。

得点の分布が正規分布をしないときには,規準値集団も,偏差値集団もともに正規分布をしませんから,規準値も偏差値もともに全体の中での相対的な位置を示すことはできません。

昭和54年1月実施の第1回国公立大学共通一次試験の総合点の分布は,ほぼ正規分布をしていました。したがって,偏差値で自分の成績の相対的な位置を知ることができました。

しかし,昭和55年1月に実施した第2回の総合点の分布は,正規分布をしま


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