教師のための統計入門-046/233page

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せんでした。それで,偏差値から相対的な位置をつかむことが不可能であったので,入試センターでは,得点の度数分布表を提示して,この表から自分の成績のおよその位置を知らせようとしたのでした。

例えば,数学の得点も,英語の得点も,ともに正規分布をしないとき,これらの得点をそれぞれ偏差値に換算する場合がありますが,この場合,偏差値は,全体の中での相対的な位置は示しませんから,ある個人の数学の偏差値と,英語の偏差値とを比較しても,全体の中で,どちらの成績が上位であるのか,その判定はできません。これは,得点が正規分布をしないときの規準値についていわれたことから明らかです。(P41 注1参照)

もちろん,同一科目の偏差値を比較する場合は,大きい値の方が,成績は上位であることは明らかです。

それでは,得点の分布が正規分布をしないとき,それらを偏差値に換算する意味は何かといえば,それは,互いに基準が異なり,科目間でもばらつきのある得点集団を,どの科目の平均値も同じ50,標準偏差は同じ10の数値集団(偏差値集団)にそろえてみる,ということです。そして,各科目の得点分布に,はなはだしい差がない場合には,各科目の偏差値を,一応基準(平均値,標準偏差)を同一にした,そろえられた数値として見よう,というわけです。

実際問題として,テストの得点は,そううまく正規分布はしないようです。まして,人数が少ない場合にはなおさらです。

ですから、得点の分布が正規分布をするかどうかも確かめないで,各科目の得点を,それぞれ偏差値に換算する場合には,その数値は,小数点以下まで求めてみても何の意味もありませんから,ふつうは整数値で表します。そして,異なる科目の偏差値の大小から,成積の優劣は決まらないことも知っておいてください。

(2) 偏差値の求め方

偏差値は,次式

y=(X−-X/σ)×10+50……1)

によって,求めることができました。


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